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黒白ノ風
412 変動
後方の敵。
それに対し素早く体を反転させ、地面を蹴った。

ザッ
一瞬だったように思えた。
風を切るようなスピードでサスケの刀は敵の腹を確実に切った。
ドサッ
倒れる敵。
そして刀を鞘におさめるサスケ。

・・・しかし敵は死んでいない。
サスケはわざと急所を外していたのだ。
すました顔でサスケは振り向いた。


 「・・・」
ドキッとした。
何だか沸き上がるような感情が私のなかにある。
 「…何にやにやしてるんだお前は」
そんな私の表情を見兼ねてサスケは話し掛けてきた。

 「…え?にやにやしてた??」
 「きもちわりぃウスラだな」
 「うわ、サッスン酷っ」

 「・・・」
ただ、嬉しかっただけなのかもしれない。
無下に殺人に手を染めないサスケの行動が。
復讐に呑まれないで、ずっとこのままのサスケでいて欲しい…
切実にそう思った。



 「…というかサチ、そんなににやにやしてると不審者みたいだよ?」
と水月。
 「大丈夫だ。もうサチはウスラな不審者だ」
返答するようにサスケ。
 「・・・」
何だよウスラな不審者って。


 「・・・香燐ー…サスケと水月が私をいじめるよー…」
そして私は香燐にすがってみる。
 「…ん?どうしたんだ?不審者」
 「・・・」
しかし、唯一の頼りだった香燐までもがこの言いよう。
 「・・・」
こういう団結力だけはあるんだよね…


 「…行くぞ」
サスケの声を合図に私達は駆け出した。
先程のようなほのぼのしたような雰囲気はもうない。

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あきゅろす。
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