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黒白ノ風
391 手渡
火影邸のとある部屋にて。

コンコン…
 「何だ?」
ガチャ
部屋の主、綱手が返答を返すと訪問者である私は迷わず扉を開いた。

 「・・・」
 「…サチか。どうかしたのかい?」
 「渡しときたい物があるんだけどさ」
まだ綱手には私の里抜けのことは伝わっていない。
そのことに安心しつつ、懐から取り出したマヨネーズを手渡した。
 「・・・こ、これは」
 「・・・」
 「…何の嫌がらせだい?」
 「・・・あ、間違えた。ほんとはこっち」

今度こそ目的の品を取り出し、手渡す。

 「・・・?」
怪訝そうな顔をする綱手の手の平には擦り切れ、ボロボロに風化して今にも崩れ落ちそうな巻物が置いてある。
 「本当に、何の嫌がらせだい?」
口元は吊り上がっているものの目は笑ってはいない。
心なしか額に青筋が浮かんでいるような・・・

 「…いやいや、中身確認しようよ」
 「ふむ…それもそうだな」
密書を扱うかの如く慎重に巻物を開いた。

 「・・・」
 「・・・医療忍術に関する昔の巻物か…」
綱手は素早く目を通し、内容を理解する
 「・・・」
 (・・・をお願…します)

 「…?ん?あぁ。・・・それにしても、こんな療法まである巻物なんて・・・サチ、これをどこで手に入れたんだい?」
巻物に目を落としながら質問をする綱手。
内容はよほど充実しているようだ

 「・・・」
しかし相手からの返答はない。
 「・・・?おい…・・・」
疑問に思ったらしい綱手はようやく顔を上げた。
しかしもうすでにサチの姿はそこにはなかった。

ふと綱手の頭に先程のサチの言葉がよぎる。
 (ハヤテさんとアスマ先生のことをよろしくお願いします…)

 「サチのやつ・・・」
まさか・・・な。

綱手は席を立ち、窓際にて天を仰いだ。

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