黒白ノ風
386 謝罪
「・・・」
あの時はあんなことを言っていたナルトが今、こんなに葛藤している。
私は・・・
なんということをしているのだろう。
修業をつけてもらって強くなって、暗部にまで入隊させてもらってまた強くなって、その強さを月日の流れと共にナルトや仲間と一緒に更にみがき、その今までに付けた強さを・・・里抜けに利用している。
あのナルトをこんなに動揺させて…
しかし、私にはもう里抜けという道しか残っていない。
もう後戻りはできない。
できたとして、里に戻ったとしてもまた柏一族のことで里抜けを繰り返すだろう。
この場でナルトに始末されるか逃げ切るか。
結果的には両方の道共にナルトを傷付けることになる。
あの任務の途中、私はナルトが羨ましいと思った。
暗殺の任務を受け持ち、始末した後に例えターゲットが顔見知りだったと知っても淡々と死体を処理し、私に任務と日常の区別を教えることのできるナルトが羨ましかった。
あぁ、ナルトは楽に考えれていいな。
…と一種の恐怖と共に羨望の念を覚えた。
しかしそれは違った。
あの時、木製でできた薄っぺらい暗部面の下の表情は悲壮に歪んでいたに違いない。
・・・ナルト、ごめん。
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