黒白ノ風
385 区別
私は考えただろうか…
暗殺のターゲットが顔見知りかもしれないということを。
・・・考えようとしなかったのだと思う。
(夜霧…)
最近暗殺に入隊した変わり者。
任務で知り合い、プライベートな話こそしないものの、会話などをした。
ナルトも私を介してそれなりに交流していた。
もう動くことのない体。
・・・なんで…?
まずそう思った。
(こいつは里の機密条件を漏洩しようとした)
立ち尽くす私を見兼ねたナルトは死体の処理をしながら淡々と話した。
(・・・あんなに明るい奴が…?)
信じられなかった。
(その明るさも、演技していたに過ぎない)
演技・・・?
だったとしたらチャクラの流れや僅かな動作で私でも分かる。
(でも…)
(…・・・理由を考えるな、素性を探るな、耳を傾けるな、感情移入もするな・・・ターゲットを抹殺する前に己の感情を先ず殺せ。……任務の遂行が第一だ・・・これは、里から下された任務なんだよ)
(・・・)
里の為に…?
これはしょうがないことなのか。
しかし今まで木の葉の里はこのシステムでやってきたのだ。
だから…今後も・・・
(…ねぇナルト・・・これからもずっとこういうシステムでやっていくのかな?)
(・・・)
その時、ナルトの手が僅かながらも震えたことに気付いた。
(・・・そ、んなこと俺に聞くなよ… )
言葉が詰まる。
真っすぐ私を見据えていた瞳は揺らぎ、顔をそらした。
どこかでナルトはこういったことに慣れているのだと思い込んでいた。
普段のドSっぽいけど優しいナルト。
そのナルトと今のナルトを分け隔てて見ていたのだ。
そんな浅はかな自分を悔やんだ。
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