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黒白ノ風
383 赤青
 「・・・」
ナルトの発した言葉にこれほど恐怖を感じたのは始めてだ。

ナルトの空色の瞳は真っ赤な宝石のように、危険な雰囲気を醸し出す瞳へと変化した。
ざわざわと森が騒ぎ出す。

危険を察知した私は痛む全身を庇いながら煙玉型の火爆術を作り、煙幕を発生させようとした。

しかしぴたりとその手は止まる。



 「・・・」
いや、待てよ…

今発せられているチャクラは九尾のもの。
ナルトは暗部…
原作のナルトとは違い、能力もだいぶ上だ。
そして精神面も。
そのはずなのに何故ナルトは今更九尾に頼ろうとしている…?

煙玉型の火爆術をしまう。
九尾チャクラを纏ったナルトの嗅覚に煙玉など無意味だ。
逆に私の視界が阻まれ、自分の首をしめることになってしまう。


未だに痛く刺さる赤いチャクラ。
まだ九尾のチャクラは扱えていないらしい。

 「・・・」
じりじりと、ナルトの足先指先一つ一つの動きにに目を配らせる。
突発的な攻撃が怖いのだ。

 「・・・」

まるで波が引くように、
 「・・・?」
・・・ナルトのチャクラが、しだいに穏やかになっていく?

…自分で抑えたのか・・・


 「くそっ…」青に戻った瞳は私を見据えながら悪態をつく。

葛藤しているのか?
自分が修業をつけた木の葉の暗部の一人が里抜けしようとしている。
自分の甘さに奥歯を噛み締めている。


 「・・・」
こんな場所で場違いなことに暗部でのある任務を思い出した。

そのある任務の内容とは…
・・・暗殺。
それも今の私のような裏切り者の抜け忍暗殺の任務だ。


 「ナルト…」
今のナルトも“あの時”と同じ気持ちなのだろうか…?

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