黒白ノ風
343 同様
木の葉病院…私はまだそこに留まっていた。
ピッピッピッ…
室内では生命を維持するための機械が規則的に鳴っている。
その機械が付いたベッドに横たわる人はピクリとも動かない。
私はこの病室に1ヶ月に1回の頻度で訪れる。
訪れるようになったのは3年ほど前の中忍試験の時辺りであろうか。
「・・・」
まだ目覚めない…か。
ふと名前の書かれた表札に目をやる。
月光ハヤテ・・・
この人もアスマ先生と同じような場所に刃物を刺され、病院へと私が送った。
一命は取り留めたものの意識を取り戻さない。
同じような病状のアスマ先生を見て、何気なくここに来ようと思った。
ガラッ
「・・・」
誰か来た。
しかし見るまでもない。
私以外にこの病室を訪れる人は限られているから。
「…いらしてたのですか…因幡さん」
「うん・・・あ、因幡ってのやめて下さい」
「あぁ、すいません」
入ってきたのは卯月夕顔さん。
私と同じ暗部で、ハヤテさんの彼女だ。
私が暗部だということは2年ほど前にばれた。
暗部服の姿でうっかり面をはずしたままハヤテさんの見舞いをしていた時にタイミング悪く夕顔さんが来てしまったのが原因だ。
「もう3年になりますね」
口を切ったのは夕顔さん。
「…そうですね」
「・・・」
二人の邪魔になっても悪いし、私はここらへんで帰るか。
特に用事もないし。
「…では」
静かに病室を去る。
「サチさん…」
その時、夕顔さんに呼び止められた。
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