[携帯モード] [URL送信]

黒白ノ風
336 元癖
バシャバシャ
ぬかるんだ地面を駆ける。

先程までは瞬身の術を用いて移動していたのだが流石にチャクラ残量も限界になったため、こうして地を駆けているところである。
止むことの知らない雨は私の体力を更に削る。

パシャ…
ふとその場で止まる。
 「・・・」
これは・・・
これはマズイ。

辺りの地形を見回し、思い更ける。
森の中を進んでいたのだが、気付かないうちに方向が分からなくなってしまったのだ。
こんなところで方向音痴が祟るとは…

 「・・・クソッ!」
ガッ
八つ当たりで足元にあった木を蹴り上げるる。
哀れにも蹴られた部分は表面が剥がれ、木目がむきだしになっていた。

 「・・・ハァ」
とりあえず冷静になり、通常の道を探すことにした。
 「・・・」
神経を尖らせ、微かな音に耳を立てる。
・・・この水音からして前方は川。
そして左前には滝らしき音。
滝近辺に道なんてない…よね…?
後方からはただ葉の擦れ合う音のみがこだましている。
まだまだ森が続いているということであろうか。
…となると…
左足を踏み込む。
勢いよく右へと方向転換をし、またもや駆けだした。

 「・・・ハァ…」
賭けだった。
曖昧な成功率だというのにその賭けの行方を見守る。
まるで博打打ちしている気分だった。
その結果はというと…
今さっき、視界を覆っていた緑が無くなり、代わりに整備された道が出現した。
通常の道へと出れたのだ。

賭けは成功。
しかしまだ問題は山積みだ。
綱手お姉サマの居場所・・・
それに、私が病院を後にしてからもうすでに4、5分経過している。
迫りつつあるタイムリミット。
考えるだけで目眩がする。

 「・・・」
ここで道の脇にひっそりと佇む茶屋を見つけた。
…あそこで綱手お姉サマが向かった小国とやらの位置を聞こう…
もう時間が無い・・・

[←][→]

8/33ページ

[戻る]


あきゅろす。
無料HPエムペ!