黒白ノ風
334 裏口
「・・・」
しだいに変わる景色。
それと同時に激しくチャクラを消費しているのが分かった。
人を背負いながら瞬身するというのはこれほどまでチャクラの消費量が多いものなのか。
それに、人の命がかかっているというのは精神力を極限まで擦り減らせてくれる。
まだある、まだいける。
木の葉病院まであと少し。
ポツ…
「・・・?」
不意に頬に当たったもの、それは水滴だった。
朝から鉛色に染まっていた空からはいよいよ雨が降り始めた。
ザァァ
しだいに雨足は強まり、私とアスマ先生を濡らしていく。
早くしなければ。
そう思ったころには
「ハァ…ハァ、着いた…」
木の葉病院へと到着していた。
今は昼。
一般人も利用している正面口から入るのはアレなので、裏口から入る。
ぽたぽたと滴が垂れる。
思っていたより濡れてしまったようだ。
「…すいません、急患、です…」
「・・・!!ハイ、分かりました」
看護婦さんは少々驚きつつも的確な対応をする。
「容態は?」
「あ、はい。内蔵系のダメージが酷いらしく、20、30分はもたらいらしいです。それと、綱手お姉サマでないと手術は困難らしいです」
「そうですか・・・こちら裏受付、内科専攻に緊急手術をお願いします」
看護婦さんは電話を手に取り、事を伝える。
そして一度受話器を置き、また別の場所へと電話をかける。
「こちら木の葉病院、内科専攻より綱手様に緊急手術の要請が…」
「・・・ふぅ」
とりあえずもう大丈夫かな…
安堵の息を漏らし、ソファへと腰掛ける。
「いない!?不在ですか?」
「・・・そうですか、そんなところに…」
「・・・?」
どうしたのだろう…
ガチャ
看護婦さんは受話器を置き、私に話し掛ける。
その表情は深刻そのものだった。
「…綱手様は火影邸にはいないそうです」
「・・・え!?」
火影邸には、いない?
だとしたらシズネさんもいないのか?
では誰が手術を・・・?
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