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黒白ノ風
316 過々
 「異次元の、中?」
真白の発言の意味がよく理解できず、私は質問をなげてみた。

 「異次元とは何もない場所だ。風、音、色、臭い、規則性…そういった人間の本能でもある五感がない、明らかにこの世界とは違っている場所だ。…いや、場所ですらないのかもな。まぁ、その感覚になかなか慣れず、最初は気持ち悪かったが・・・そして270年前、我が外出している間に…」

 「・・・」
そこで結界が…
 「・・・異次元…そんな場所で結界が解けたのだ。突然異次元の世界に投げだされた柏の人々は何を思っていたのだろうな…空も、地面もない。外という外にも出れず、食料も尽きてくる…」
 「・・・」
 「そうなることをクロも知っていたのだ。だから我の口から230年の時が過ぎたという言葉を聞き、落胆していたのだ・・・我が柏一族が滅ぼしたのだ」

 「・・・じゃ、じゃあさ何で私はここにいるの?私、柏一族なんでしょ?」
 「あぁ…また長くなるが…」
 「・・・」
あぁ、真白は疲れている。
真白のまとう雰囲気で率直にそう思った。

もう話を止めてもらおう。
だいたいの事柄は把握できた。
 「・・・」
しかし、止めるといってもかける言葉がない。
励ましの言葉くらいいつもみたいにホイホイ出てくると思っていたのに…

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