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黒白ノ風
315 消失
 「えーと、つまりクロさんは今から270年前、これまた今から40年前の真白に呼び出されていたってこと?」
こう言ってはいるが自分でもよく理解できていない。

 「あぁ…そうなるな。人はその時代に一人しか存在できない。我が過去からクロを呼び出せば必然的にそこにいはずのたクロは消えるというわけだ。まぁ、今となっては呼び出すこともかなわないがな」
 「・・・」
そういうことか。
270年前にクロさんが消えたのは真白が関係していたんだ。
それに、もう呼び出せないということはもう既にクロさんは…
死んでしまっているのだろう。

 「・・・じゃあさ、今から40年前にクロさんを呼び出した時、何でクロさんは落胆してたの?」
 「…あぁ、そうだったな…・・・それは、一族が滅んだのだと知ったからだ。…クロは誰よりも一族を愛し、愛でていた。落胆するのは当然だったか…」
 「だったら、何故滅びたの?真白が呼び出したのはクロさんだけでしょ?」
 「あぁ…先程我は”270年前にクロは戦闘を回避するために一族の住居全体に結界をはり、異次元に移動した“と言ったな。・・・結界忍術は、それをかけた者が突然いなくなったとしたら…どうなると思う?」
 「消えちゃう?」
 「そう、消える。結界が消えてしまうのだ。だが・・・」
 「・・・」
 「クロがかけた結界は消えた…異次元の中でな」

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