黒白ノ風 299 予施 「・・・ゲホッ…」 戦略を練っていたところ、大蛇丸が苦しそうにむせ始めた。 「ゲホゲホッ…グハッ…」 ボタタッ そして吐血までし始めた。 赤黒いともいえる血は大蛇丸の口より出てきたもの。 「…え、どうなってんの?」 いまいち状況が読めていない私である。 そんな私に答えを教えるかのようにサソリは言う。 「大蛇丸、お前は転生忍術を持っている。だから普通の刀で刺されたくらいじゃ死なねぇ・・・」 「・・・ま、まさか…」 「フン…そうだ。“普通”の刀ならな・・・今お前にぶっ刺した刀には予め忍術が施してある」 「くっ」 「終わりだ。大蛇丸」 サソリは刀を鈍く光らせながら徐々に大蛇丸に近づいていく。 私は息を飲みながらその行動を見守った。 「あばよ」 静かにそう告げ、刀が振り下ろされる。 ザシュ 赤い飛沫が辺りを染めた。 サソリは大蛇丸が動かないことを確認するとピッ…と刀に付着した血液を払い、冷たい瞳で大蛇丸を見下ろした。 大蛇丸の死体を目にしているサソリはやはりともいうべきか、何を考えているのか分からなかった。 「・・・」 容赦も、躊躇もない… これがサソリの姿。 暁のアジト内で見る姿とは違う。 そう痛感させられた。 不意にサソリがサソリではないような錯覚に陥り、恐くなった。 「さ、サソリ…?」 名前を呼ぶとこちらに向く。 大蛇丸に向けられていた冷たい瞳。 「あ?」 しかし、表情は一瞬にして崩れ、いつもの仏頂面に戻っていた。 「ヘッ、どうだ」 私の前にはいつも通り、自慢げに話すサソリの姿があった。 [←][→] [戻る] |