黒白ノ風
297 静倒
「あ…」
朱い血液が服の下より滲み、滴り落ちる。不意にも綺麗だと思ってしまった自分はもう終わっているのだと思う。
「サソリ…」
ドサ
糸が切れた人形のように体は地面に投げ出された。
血は留まることを知らないかのように未だにドクドクと地面を染めていった。
「フン…」
動かない体を見下すようにサソリはそこに佇んでいた。
「サソリ、ありがと…」
「ったく、テメェはよ…」
私がお礼を述べるとサソリは毒づきながら大蛇丸を見遣った。
大蛇丸は虫の息で倒れて血を流している。
何らかのかたちで生きていたサソリは私に詰め寄っていた大蛇丸の隙をつき、刀で突き刺したのだった。
「な、ぜ・・・生きている…」
「フン、あんなおおっぴらに急所出して戦わねぇよ。バカが・・・大蛇丸、油断したな」
「くっ…」
「・・・」
つまりサソリの核は剣の突き刺された場所にはなかったということか。
きっと防弾チョッキ的な物を付けて見えない場所にあるのだろう。
…言ってくれればよかったのに。
私一人で叫んで落ち込んで馬鹿みたいじゃん。
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