[携帯モード] [URL送信]

黒白ノ風
294 煙払
何の音だろ?
首をかしげながら耳をすましてみるものの、音の正体は掴めない。

スゥ…
不意に音が、止まった。
 「・・・」
しかし、何の変化もないまま不気味なほどの静寂が辺りに漂った。
 「・・・」
自らが張り巡らせた煙幕のせいで辺りの様子が伺えないため、身動きができない。
やけに時間が長く感じた。

 「ブハァッ!!!」
静寂を打ち破ったのはマンダの声だった。
先程の何かを吸うような音の出所はマンダだったらしい。
息を命一杯吸い、はいたようだ。
 「・・・やべ」
そのおかげで私が張り巡らせた煙幕は見事に晴れた。

鋭い金色、瞳孔が縦に開いた瞳と目が合う。
ニッ
私の姿を見つけ、口角を吊り上げているマンダが見て取れた。
ヒュン
次の瞬間降って来たのは尻尾。
 「うわ!」
驚きつつも当たり前のように避ける。
マンダの尻尾は砂埃を上げながら地面をえぐった。

これでは決着がつかない。
マンダと永遠といたちごっこを繰り広げるのか?
否・・・そんな暇はない。

そういえばサソリはどうなったんだろ。
オロッティーもなかなか強そうだし。
きょろきょろと辺りを見回す。
そんなに遠くへは行っていないだろう。

・・・いた。
大蛇丸は草薙の剣を所持。
相変わらず這うような、纏わり付くような不気味な笑いを浮かべている。
対してサソリは微妙に表情を歪めている。
どことなく大蛇丸が優位な状況ということが分かった。
 「フフ…いい加減遊ぶのも飽きてきたわ」
大蛇丸はそう言ったかと思うと瞬時にサソリのもとまで移動。
同時に鋭く光る剣をサソリの胸部に突き刺した。
 「アナタの弱点は、この胸部にある核よね…」
 「・・・グッ」
赤い液体が剣を伝う。

 「サソリィ!!!」
それを目撃した私は気付けばがむしゃらに駆け出していた。

[←][→]

13/48ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!