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黒白ノ風
290 影薄
 「サソリ、また私が幻術にかかってたら解いてね」
 「…自分で何とかしろ」
 「え、ヒドッ」
 「フン…2対1でこっちの方が有利だ」サソリは大蛇丸を見遣りながら不敵に笑う。

それに対して大蛇丸は
 「アラ…2対2よ。こっちにはカブトがいるわ」
…と。

 「「・・・は?」」
しかし、その発言は私とサソリどちらにも聞き返された。
 「・・・?」
どうしても腑に落ちない部分があったのだ。
2対2、カブトがいるという発言だ。
どこを見渡してもカブトはいない。
ましてや今の状況は2対2でもない。

 「オロッティー…カブトいないよ?」
 「ハッ、馬鹿が。さっき薬の片付けしますってほざいてからどっか行ったじゃねぇかよ」
 「・・・気付かなかったわ…」
 「…そうなんだ」
私が幻術にかかっているうちにそんなことが…
それにしても…カブトかわいそ。
しかも影薄っ。
大蛇丸に気取られないほど地味とか…
それに加えてあのメガネ…
もはや哀れを通り越して滑稽だよ。

 「まぁいいわ…」
2対1でも2対2でも変わらないもの。
そう呟きながら大蛇丸は親指の腹を噛んだ。
ガリッ
そう音がし、指から赤い血がしたたる。
 「口寄せ!!」
間髪入れずに大蛇丸はそれを地面へとかざした。

瞬間、白煙と共に巨大な紫のしましまが出現。
それはアジトの天井を破壊し、日の当たる大地に大きく佇み、私達に影を落としていた。
その紫のしましまの正体は巨大な蛇、マンダだった。

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あきゅろす。
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