黒白ノ風
272 成長
ブィィン
辺りに何かがめぐらされるような音がした。
「・・・」
しかし、外見上の変化はこれといって無い。
「…何も起きねぇじゃねぇか。やっぱり馬鹿は直らねぇな…クク」
「しー、聞いてて」
「・・・」
サソリは言われた通り、仏頂面で耳をすませた。
「5年ぶりですね」
「尾行は…?」
「大丈夫です」
…と。
先程までは風の音やらなんやらで聞こえなかったヤマト隊長とカブトの会話が手にとるように聞こえるようになった。
「便利な結界もあるもんだな」
「ほんとだね〜!!」
「何一人で感動してんだ?」
「べっつに〜」
…実はこの結界忍術一度もできたことないんだよね。
火影邸から巻物を拝借したまではよかったんだけど記してある術が難しすぎて到底私にはできなかった。
今できたってことは少しは成長しちょるってことかな?
これは対象にした人や動物の声や音が聞き取れるようになる結界らしい。
「これ、どうなってんだ?」
「知らないv」
効果は知っているのだが、どうしてこうなるのかは分からない。
「やっぱりお前馬鹿だろ」
「知ってる。…まぁ聞こうか」
話題をそらし、再びサソリの注意をヤマト隊長達の会話に向けさせた。
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