黒白ノ風 260 損得 大切さは痛いほど分かる… だけど… 「・・・ねぇ知ってる?」 「?」 「失うものもあれば得るものもあるんだよ?」 サクラはこのことをまだ知らないだけ… 「どういうこと…?」 「例をだすぜ?・・・甘味処みたらしで500両の白玉黒蜜パフェを食べます。…失ったものは?」 「500両ね」 「うん、500両失った。だけど得たものもあるよ?それは…おいしいという感動v・・・その感動が大きければ大きいほど500両のことなんてどうでもよくなる」 まぁこれは個人的な意見だけどね。 「もう一つ…ある人がどこかへ行ってしまった…失ったものは?」 「…ある人ね」 当然の如くサクラは答える。 「なら…得たものは?」 「・・・」 サクラは湯舟に伏した。 おそらくサスケのことを考えているだろう。 「まぁ、答えは人それぞれだけどね…」 気休めにしかならないだろうけど、私にはこのくらいのことしか出来ない。 チームメイトとして、友達として落ち込んでいるサクラを励ましたかったのだ。 私の下手な屁理屈で励ましになったかどうかは分からないけど。 「・・・サチ…ありがとう」 サクラは湯舟から顔を上げた。 何かふっきれたような清々しい顔だった。 ふと私は笑顔になる。 「やっぱサクラはそうじゃないとね!」 「まさかあのサチに励まされるとは思ってなかったわ」 「あは」 …“あの”サチって何だよ。 まぁいいや。 「さて…」 立ち上がろうともたれていた湯を囲む岩に手をやった時だった。 ぐるん …突如視界が回った。 今まで写っていた湯舟と朧げな湯煙が視界からなくなり、雲がまばらにかかった青空が現れた。 「あり?」 [←][→] [戻る] |