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黒白ノ風
192 長閑
 「んじゃそろそろ帰りまーす」
 「寂しくなるね」
 「べつに」
…と。
カブトの言葉を当然の如く軽くかわした私。

一泊二日の“岩場に泊まろう”計画を遂行し、見事成功におさめた。
荷造りをととのえ、アジトの入口付近で別れを告げる。
…いつ何時も別れというのは寂しいもの。
まぁ、またいつでも会えるけど。

 「また来なさいね」
 「うん!・・・サスケもばいばい!」
 「…フン、じゃあなウスラ」
 「うん!!じゃあね!」
最近冷たかったサスケが返事をしてくれたことにより、何だか嬉しくなった。
無意識にふ…と笑う。
そしてそのまま印を結んで瞬身の術を使い、木の葉隠れの里へと向かったのだった。

変わる景色。
変わらない思い。
…サスケは元々強いのだが、そのもとよりある力が更に伸びていた。
それに無事だったし、ともかく安心した。
…早く修行をしたい。
私ももっと強くならなくちゃ。

ザッ
静かな音を立て、到着したのは木の葉の里内にある森。
自分の家に直接到着してもよかったのだが久しぶりの里を懐かしく思い、里内をゆっくり散歩したくなったのだった。
 「ふー」
そよ、と吹く風が気持ちいい。
石畳の地面。
少し昔の面影を残している木の葉茶屋通り。
道ゆく人々の雰囲気。
断崖に里を見守るかのようにそびえ立つ火影岩。
…あ、綱手お姉サマの顔岩ふえちょるよ。
思えばこの里にはもう一年間以上も世話になったのだ。
あー、なんかいいな・・・この感じ。

 「ワンッ!」
うんいいねぇ。
白い犬…散歩か。
平和な光景だ。
私はうふふー、と犬を見やる
そこでふと気付いたことが一つ。
・・・あれ、飼い主は?
リードが付いていらっしゃらな…
ってか犬でかっ!
 「ぎゃー!!」
私の一直線上を気持ち良さそうに駆ける犬。
方向転換するかと思いきやスピードが更に速まり、私は大きな犬に突進かつのしかかられてしまった。

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