黒白ノ風
173 年経
「…おぉう」
…2年…2年間も私は元の世界に行っていたことになっているのか。
あっちではほんの数日間だったのに。
「…!そだ、鏡ある!?」
「はい、どーぞv」
おばばはポケットから手鏡を取り出し、私に渡した。
「あんがと!」
私は手鏡を急いで開き、自らの顔をその鏡にうつした。
「…戻ってる…やった!!」
何故鏡を見たか、今の自分の容姿を確認するためである。
2年間経ったということで木の葉の里での私の体は本来の16歳程度の体、顔つきに戻っていた。
これでもう身長が小さくなく、動きにくくなくなる。
「・・・まぁよかったな。…だが、おぬし達がいた世界と木の葉を繋ぐ時空間は本格的に歪んでしまった」
「…もし今私が元いた世界に帰ったらどうなるの?」
「100年以上経ってしまっているだろうな」
「うわ、すご」
100年…私が知っている人はもうほとんどいなくなっているだろうな。
友達、暮らしてきた家…少し寂しい気もするけど私は木の葉にいた方がいい。
「…まぁ、もう帰さないがな」
「私も帰らないよ・・・そういえばおばばはどうすんの?」
「…ワタシも木の葉に住むわ」
「…どこに?」
おばば…真白と住むにしても真白は家を持っていない。
私の家は、人数的に無理だ。
「・・・んー、とりあえず演習場に住むわv・・・そうね…第44演習場は駄目ね。死の森って呼ばれてたし、毒蛇とかいたし…」
「ヲイ!」
迷惑だろ!
私は激しくつっこみを入れた。
「冗談よ…真白ちゃん、今の火影って誰?」
「怪力綱手だ」
「あの綱手が火影に…」
「時代は流れるものだな」
「そうね…今度会ったら空き家とかないか聞いてみるわ」
・・・よし、おばばの家も何とか確保できそうだし私も疲れたし、そろそろ帰るか。
「・・・んじゃ、私は帰るね!」
「あぁ、またな」
「ばいばい」
真白とおばば、それぞれ言う。
またな…その言葉を聞き、私はニコ…と笑って走り出した。
今まで白黒で止まっていた時間。
それに色がつき、風が吹いてゆっくりと動き出したのだった。
時空渡リ篇 完
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