黒白ノ風
172 腑落
「…ところでおばばって何者?」
私の母親…それは元より知っていることだが。
しかし私の忘れていた記憶を見事に言い当てたり、難しい印を目にも止まらぬ速さで結んだりと…どうも腑に落ちない部分があるのだ。
「人間だよーvうふふー」
するとおばばは周りから花が出現しそうな勢いで言ってのけた。
「あはっvマジー?そうだったんだー」
私もその勢いに乗せられる。
「・・・」
…何なのだ、この2人は…
お花畑気分の私とおばばを横目で見る真白は痛いものを見るようである。
「・・・おぬし達は何故木の葉隠れの里に再度来ることが出来たのだ?」
真白は改まり、私達に問う。
「「…愛があれば出来ないことはないのさv」」
見事なまでにハモった。
まるで打ち合わせでもしていたかのようなタイミングだったので思わず笑いがこみ上げてくる。
「・・・」
2人に聞いた我が馬鹿だった…
とでも思っているであろう真白。
絶句状態である。
「…まぁ真白ちゃん、今のは冗談よ冗談」
「おぬし達が言っていると状態に聞こえないのだが…」
「まぁまぁ・・.私達がここに来れたのはこの本のおかげよ」
そう言い、おばばは懐から一冊の古びた本を取り出した。
「・・・!!?…それは!」
「真白ちゃんならよく知っているわよね?」
…よく知っている?
やっぱり真白たんと関係のある本だったんだ。
「…ねぇ、その本って何なの?」
私は問いてみた。
「・・・」
しかし、真白たんは喋らない。
「ワタシの記憶を封印した書物よね?」
代わりにおばばが口を開いた。
「・・・え?」
…おばばの記憶を、封印?
「・・・・・・そうだ。おぬしの記憶をここに封印した。普通に消せるものではなかったからな」
「…何で?」
「ワタシ強かったもん」
キッパリとおばば。
…全国の皆さん、知っていますか?
このおばばの状態をを自画自賛と言います。
覚えておきましょう。
「何故おぬしがそれを持っている?・・・それは確かに…火影邸の鍵付きの倉庫にしまっておいたはずなのだが…」
「サチちゃんが持ち帰ってきたのよ」
「・・・」
横目で私を睨む真白。
「・・・」
必死で目をそらす私。
「・・・」
「・・・倉庫に忍び込んでパクっちゃったv」
「・・・」
正直に言ったというのに真白からは未だに無言という名の殺気がばしばし飛んでくる。
「・・・・・・まぁよい。おぬし達に会えたのに免じて許してやる」
「流石真白たん!」
…
「さて、サチよ…サスケが里抜けしてからもう2年経っているぞ」
「ぇ!」
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