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黒白ノ風
171 再会
 「思い出したよ真白…」
最初に口を切ったのはおばばだった。
 「…え?何を!?」
 「サチちゃんは少し黙っていようね」
 「はい。」
…こ、怖っ。

自らの重圧に縮こまった私をよそにおばばは続ける。
 「思い出して、すぐに思ったの。真白に会いたい…って」
 「・・・おぬしは怒らないのか?あんなことをされて…」
 「全く」
おばばはきっぱりと微塵もないように言う。
 「・・・すまなかった」

 「…それと、サチちゃんの記憶も私の時と同じく消したでしょ?」
 「・・・あぁ、同じ過ちを繰り返したくなかったのだ」
 「…はぁ、それじゃあ逃げてるのと一緒よ。また繰り返すの?」
 「・・・」
 「ちゃんと前向いて、道を間違えないで」
おばばは真っ直ぐ真白を見据え、優しく言った。

 「・・・あぁ…では」
白兎は私のもとまで来たかと思うと印を結び、前足を私の頭にかざした。
 「解!」
・・・瞬間、思い出す。
忘れていた記憶の欠片を。
真白と出会い、人生が変わった。
暁のアジトで、波の国で、中忍試験で…
様々な場面でサポートしてくれた。
心配性で、時々いらないおせっかいも焼く。
でも私はそんな真白たんが大好きで・・・
今まで私がしていたことを全て、思い出した。
 「…真白たん」
 「・・・」
私が名前を呼ぶと真白はびくっと体をこわばらせた。
 「…大好き」
 「・・・おぬしも…怒っては、いないのか…?」
 「何で怒る必要があるの?真白は私が怒るようなことなんかしてないよ?」
何もなかったかのように言ってみる。
これが私の気持ち。
 「・・・ありがとう」
真白は、今にも消え入りそうな声だった。

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あきゅろす。
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