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黒白ノ風
165 考更
 「いただきます」
ぱん
と手を合わせ、箸に手を付ける私。

…私も階段を下り、リビングへ行くともうすでに夕飯が用意されていた。
当たり前のように電源がついているテレビはざわざわと音を立てていた。
テーブルには食欲をそそるような食べ物達とおばばがいて、私も早速夕飯を食べ始めたのであった。

 「おいしー」
何故かは分からないがこの夕飯さえも懐かしく感じた。
 「当たり前よ」
夕飯の味を誉めたことに対し、おばばは鼻を高くしながら自信ありげに口を開いた。

“○○!このコロッケうまい!”
“当たり前じゃないですか。毎日ワタシがご飯作っているんですから”…
ふっと頭に浮かんだ誰かとの会話。
頭の中でフィルターみたいなのが最初の単語をあやふやにした。
…何今の・・・
コロッケ?そんなもの最近食べていない。

考え込みながら箸を進める私。
米とおかずを口に運び、噛みしめる。
それを何回繰り返したかも分からない。
…なんで私は1日間もいなかった?
なんでおばばはサスケの名前を出す?
それも実際に会ったかのような口ぶりで。

 「ちゃん、サチちゃん!」
 「んぁ!何!?」
考え込みすぎておばばの声が耳に届かなかった。
慌てて返事をする。
 「ぼーっとしてどうしたのよ。…まぁいいわ、お醤油取ってちょうだい」
私の目の前にあった醤油を手に持つ。
はい…などと言いながらテーブルごしのおばばに手渡した。

 「…あら?そのブレスレットどうしたの?」
醤油を渡し終えた私の手を見かね、おばばが一言。
 「・・・?」
何を言っている?
ブレスレット?
そんなものは付けていない。
そんなありもしない架空のものをおばばは平然と口にする。
 「…ぇ」
一応腕を見て驚愕。
ありもしない、私も認識していない白くて綺麗なブレスレットがきちんと腕にはまっていたのだった。
 「何これ」
白くて、純白な、ブレスレットが…
“これはお礼です。ボクのチャクラを練って作りました”
またも頭の中を勝手によぎる言葉。
 「・・・?」
?マークを浮かべるおばば。

…なんのお礼?
チャクラを練る?
作る?どうやって?

 「サチちゃん冷や汗凄いわよ」
 「…うん」
 「…まぁいいわ。誰から貰ったの?サスケ君?」
 「・・・」
まただ。
サスケというこの世界にいもしない人物の名前があがる。
なんで?
どうして?
ワカラナイ。
 「・・・誰から貰った?わからない。貰う?誰から?何を?・・・何でブレスレットが?白い…」
 「・・・?」
おばばは怪訝そうに私を見やる。
 「・・・真白?何…それ?何でブレスレットが…」

 「サチちゃん!!」
 「…!」
おばばの強く、優しいような声で我に返った。
そこで初めて私が過呼吸になる一歩手前だったということを知る。
 「今日はゆっくり寝なさい。…分かったわね?」
 「・・・うん」
おばばの優しい声を背に私は夕飯をそのままにして階段を一段一段のぼり、部屋へと戻ったのだった。

 「…真白?」
おばばの呟きはテレビの音にかき消されて…消えた。

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あきゅろす。
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