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黒白ノ風
161 荷物
 「サスケ…その荷物何?」
背負うリュックを指差しながら私。
 「…どれだけ心配したと思ってんだよ!!」
しかし、次の瞬間にはサスケに凄い勢いで怒鳴られた。
どれ程心配してくれていたのかが伺えて、1ヶ月位ならいいや…という自分の甘い考えを今になって悔やむ。
同時にこんな私でも心配してくれてたんだ…
などと感動した。
 「…ごめん」
 「・・・フン、無事ならいい」
縮こまった私を見かね、サスケは改まる。
私を怒鳴ったことを反省しているようでもあった。

 「・・・で、その荷物…何?」
先程から気になっていたことを再び問う。
するとサスケは…
 「…この荷物・・・俺は、俺は大蛇丸のところへ行く」
バツの悪そうな顔をしてためらいながらも口を開いた。
 「え!?」
言葉が理解できなくて、頭の中でサスケの言葉がぐるぐると回った。
しかし、それは一瞬。
次の瞬間には頭の中をきちんと整理して、私はサスケが里抜けするということを知った。

何で?
・・・私とも真白とも修行をして力をつけたのに。
それでもまだ大蛇丸のところへ行こうとする。
そのことが私は不思議で仕方なかった。
何故かと問いたくもなったが、驚きのせいでうまく言葉が出ない。

 「俺は…サチが暁に連れ去られるのを止めれなかった。お前がアイツに、イタチに連れていかれるのを止めれなかったんだ!…真白とも修行をしたのにな」
 「…イタチが強すぎるんだよ」
 「小さい時からイタチは強かった。しかし、今になってもその差は全く縮まらない…だから俺は大蛇丸のところに…」
 「イタチも強くなるために沢山修行を積んだんで…」
 「1ヶ月前、イタチと戦った。アイツはサチを抱えていたというのに俺では到底かなわなかった」
サスケからどんどんもれるマイナスの言葉。
 「まだかなわなくてもいいじゃん!生きてんだから普通に沢山修行して強くなろうよ!!」
言葉をさえぎり、それをもさえぎられたりして、私はあつくなってきてしまった。
それにサスケはこんな弱気な発言はしない。
そう思っていたから。

 「“普通”に?そんな甘っちょろいことしていても意味ねぇんだよ!・・・俺は…復讐者だ」
 「サスケにとって今までの日々は甘っちょろくて、無意味なものだったの?」
 「あぁ、そうだ。俺には力が必要だ。まぁ復讐に駆られる俺の気持ちなんかお前にわかんねぇだろうけどよ!!」
 「分からないね!…復讐?もしそれを遂げたら、その後はどうすんの!?」
 「遂げるだけでいい」
 「そんな曖昧な理由で復讐に?…私は行かせないよ!」
サスケの前に立ちはだかる。
同時に双方の殺気も漂い、緊迫した空気が流れた。

臨戦体制に備え、私はチャクラを練る。
・・・その時、
視界がぐらりと揺れた。
ぐにゃりと曲がった風景を目に入れながら私は横へと倒れた。

・・・チャクラ切れだ。
瞬身の術で木の葉まで来た私。
大量のチャクラを使ってしまっていたのだ。
チャクラ切れ寸前でいたということを忘れていた。
格好悪いな、私。
…このまま死ぬのかな。
まぁ、いい。
原作は変わってない。
原作通りなら原作通り、そのままでいいかもしれない。

そんなことを思いながら私はかすかにのこる意識を手放した。
 「サチ!!」
サスケが駆け寄ってきた気がした。
けれどきっとそれも気のせい…

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