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黒白ノ風
159 新形
 「サチー!」
 「・・・」
来た…!
ここに来てから数日、何の動きも見せていなかったあの人が、来た!
このまま私が帰るまで、その人に対して静かにしていればいいのにと思いながら数日、案の定動き出してしまったようだ。
…そう、私の名前を呼んだのは他でもないイタチである。

イタチは私の部屋の最奥部まで侵入。
ベッドに腰をかけ、
 「髪を結ってくれ」
そう言い、イタチは持っていた髪止めをびょいーんと伸ばして私に向かって飛ばした。
しかしそれは私にキャッチされることなく放物線を描き、床に落ちるばかりだった。
ポト…という効果音も更にむなしさを引き立てた。

…髪を結う?…何を言い出すと思えば。
私は髪止めとイタチを交互に見やる。
 「…」
…どうやらイタチはコミュニケーションのつもりで髪止めを飛ばしたようだ。
 「頼む…!」
イタチは頭の上で手を合わせ、一生のお願いだといわんばかりである。

・・・オイオイ、前にもこんなシュチュエーションあったよ!?
ってか管理人面倒くさがって文章コピーしてないか?

 「…いいっすよ」
…まぁ、ともあれ嫌な訳ではない。
髪を結ぶこの行動も二回目だ、こうなったらイタチの髪型を極めてやる。

髪の毛に手をかける。
相変わらずクシがいらないほど流れるようにサラサラな髪であった。
というより、以前より艶、手触りが格段にアップしている。
 「あれ?シャンプー変えた?」
 「あぁ、金のツバキに変えたぞ」
 「私と同じじゃん」
 「そうか!兄さんは嬉しいぞ!!」
イタチは片手を前に突き出し、親指を立てた。
イタチがすると何ともナンセンスなポーズである。
顔の横に“キャハ”というテロップが流れそうな勢いだった。

以前はイタチの横顔に惚れ惚れしてしまってまともに髪を結えなかったのだが、今回は大丈夫なようだ。
少しにやけてしまうものの、制御出来ないわけではない。
着々と髪を結ってゆく。

…ここをピンで止めて…と
 「出来た!」
我ながら自信作だ。
 「ありがとう妹よォ!」
こう言うイタチの髪型は…
頭の左右、高い場所で2つしばりにしてあり、ご丁寧にゴムでしばった部分にリボンまで付着しているという新しい髪型である。
動く度にぴょこぴょことしばられた髪が跳ね、なんとも言えない可愛さ。
意外と似合っていてびっくりした。
ちなみにイタチの頭に付着しているリボンは先日私が角都から貰ったものである。

 「では、これから任務に行ってくる」
 「ぷ…行ってらー」
任務時の顔にキリッと変わったイタチ。
今現在の髪型と言動と表情のギャップの差がありすぎて思わず笑った。
だってリボンだよ、リボン!
敵と遭遇したらどうなるかなー?

 「逝くぞ、鮫」
イタチはきびすを返し、部屋を退出。
私の部屋の前には既に鮫さんがいたようだ。
 「はい。・・・あの、イタチさん?髪型が…頭にリボ…」
 「サチに結ってもらったんだ。いいだろ、この髪型」
いたってイタチは上機嫌である。
 「・・・でもリボ…」
 「いいだろ、この髪型」
イタチは双方の瞳に赤い写輪眼をうっすら浮かべながら鮫に問いた。
 「…はは、いいですね」
 「今度鮫のも結ってあげるよー?」
すかさず私は鮫に問う。
 「…ワタシは遠慮しておきます」
そして、丁重にお断りされた。
 「んじゃ2人とも行ってらー」
まぁ、とりあえず2人を自分の部屋で見送った私だった。

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