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黒白ノ風
158 財布
間一髪で炎をよけた私。
 「殺す気か!!」
炎がおさまったところで部屋に飛び込み、言い放った。
その部屋の中ではまだ視界を覆う白煙と、火の粉がはらはらと舞っていた。

 「・・・?あぁ、いたのか」
少しすると角都の声が聞こえた。
すまないな、とも聞こえた。
視界を覆っていた白煙もしだいに晴れてくる。

 「・・・?…何してんの?」
思わず言葉がもれた。
白煙が完全に晴れ、私の目に飛び込んできたものは鈍い光を放つ金属製のわっか、小さく四角いもの、円柱のもの、四角形の刃物だった。
全てのものが金属製であった。
何かの部品のようだったが、その何かが後少しで出てきそうなところである。
身近にあるようなもの…なんだろ。
まぁ、角ちゃんが何をしているかのほうが気になるけど。

すると角都は
 「内職だ」
そう表情を変えずに私の何をしている?という質問に答えた。
 「内職?」
 「そうだ。安物のクナイの製造をしている。製造といっても溶接をしているだけなのだがな」
 「…おぉ」
わっか、四角あもの、円柱のもの、最後に四角形の刃物。
その全てを組み合わせるとクナイになる。
やっと謎が解けた。
 「流石暁の財布役!」
 「…フン、変な役をおったようだ」
角都は火遁を発生させ、高温で金属と金属を溶接してゆく。
 「手伝うよ」
私は角都の隣に座り込み、溶接を始めた。
どうせ安物なのだから私が作っても何ら支障はないであろう。
それに暇だし。
そう思い、手伝いを始めた。
またもや本題の暗号の解読のことを忘れているサチだった。

 「終わった!」
全てを溶接し終わった私達。
出来上がったクナイ達は段ボールの中に規則的にしきつめられていた。
 「…意外にはかどったな。一応礼を言おう…ありがとう」
 「いやいや、私の影分身が無かったらここまで行かなかったって。影分身のおかげさ」
 「・・・フン…そうだ、いいものをやろう」
そう言うと角都はクナイが入っているダンボールとは違うダンボールからあるものを取り出し、私の手の平に乗せた。
 「何だろ!?」
私の手に乗っかったものは軽かった。
角都の手がどいた場所には赤く、手触りのいいリボン付きのピン止めがあった。
 「かわいー、あんがと!!」
元いた世界にこういったものは五万とあったが、手触りが違う。
こちらのものの方が手触りが断然気持ちいい。
これは商品ではないのか?
かわいいから、まぁいっか。

人の部屋で思いがけないことをして思いがけない報酬をもらう。
今日もまた、楽しい1日だった。

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