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黒白ノ風
156 例外
ドンッ ボンッ ドッ
とある森の中では、耳をつんざくような爆発音がしきりに響いていた。
木々で羽を休めていた鳥達はあわてて飛び立ち、動物達もせわしなく逃げ出していた。

その爆発音の中には会話が混ざっていた。
 「また腕を上げたな?サチ!うん!」
 「デイダラこそ!」
木々を破壊してはなぎ倒し、爆発の威力を確かめる2人の姿があった。
そう、森の中での爆発音は私とデイダラによって発せられていたものである。

最初は爆発物の見せ合いから始まった。
普通忍たる者、自らの忍術を例え仲間であれ、人に見せびらかすなどということはしないものなのだが。
私達2人は例外なのである。
2人とも爆発物を扱う者。
どのような形にすればどうなるか、如何にしてチャクラを練り上げれば威力は上がるのか。
様々な意見を出し合い、試行錯誤を重ねているのである。

デイダラは私から見ると精神年齢が子供っぽく見えているのだが、修行になると訳が違う。
専門的な言葉を駆使し、普段のデイダラからは想像もつかないほどの知識、知恵を巧みに使いながら修行に励んでいるのである。
一番最初に一緒に修行した時、それを思い知らされた。

ドンッ ドカッ
 「芸術は爆発だァァ!!うん!!」
いたいけな木々を破壊しながらデイダラは雄叫んだ。
爆発の音と、辺りに立ち込める白煙、無惨にも散る青々とした葉っぱが綺麗である。
 「絶好調だね!」
 「おぅ!オイラのアートはいつでも絶好調だ!うん!!」

デイダラは私の茜空のようなオレンジから燃えさかるような赤に変わる火爆術を見やりながら言う。
 「サチにとってはそのまん丸い造形がアートなんだろ!?うん!」
 「…んー、どうだろ?」
前々からアートではないと頑なに言っているのだが、デイダラの勘違いは収まらない。
デイダラの頭の中では…爆発物を扱う人=芸術家…という方程式が出来上がっているようである。

 「はぁ、もしサチが敵になったら嫌だな、うん」
デイダラはひとりごちる。
 「なんでよ?ってかいきなり何さ?」
 「えー、サチは木の葉の里の忍だろ、うん。それでもしそれぞれ任務中にばったり会ったりして戦闘になったらと思うと厄介だなーって…うん」
 「…私は暁全員の味方。攻撃したり傷つけたりはしなーいよ?」
当たり前のこと、言うまでもないが、少しばかり不安抱えるデイダラにあえて言った。
するとデイダラは
 「サチ!大好きだー!!うん!!!」
そう叫んだ。
 「私も大好きだー!!」
私も便乗して大空に向かって叫んだ。
普段は静かな森の中だが、今日はうるさい2人組によって騒がしくなったのだった。

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