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黒白ノ風
149 黄髷
ゆっくりと振り向く。
案の定、そこには黄色いちょんまげがあった。
黄色いちょんまげの正体は、もうお分かりであろう。
デイダラである。

 「・・・久しぶり!」
一瞬の間の後、私は何となく気持ちを切り替えて言ってみた。
すると、デイダラからは
 「とうとう暁に入団する気になったのか?うん?」
こんな質問が飛んだ。
 「んーん、今日はお泊まりー」
私はその質問の答えを軽く返す。
 「そっかー。うん」
私の返答を聞いたデイダラは少ししゅんとなった。
ちょんまげもだらーんと下がり、まるでデイダラの気持ちとリンクしているようだった。
 「…まぁ!今日は暁のアジトにいるからさ!」
 「…そうだよな!またいつか修行しようぜ!うん!」
 「おうよ!またいつ…」
 「…騒々しいな・・・落ち着いて本も読めやしない・・・」
デイダラと久々の対面の挨拶も終わった頃、部屋のドアがバタンと開き、お爺ちゃんが出現した。
口からはひじきのような物体がしきりに出ている。
角都だ。
説明文だけ読むと何か普通のひじき食べ損ねたお爺ちゃんのようなイメージがあるのは確かである。

 「…おぉう!久しぶり角ちゃん!」
 「・・・誰だ?」
 「・・・水野サチですけど」
 「…おぉ、この前の任務で殉職した奴か」
 「・・・違ェよ!!ってか誰だよそれ!誰か死んだのかよ!」
・・・オイオイ、角ちゃんボケてきてないか?
 「…サチ…サチ…?・・・あぁ、お前か」
角都は脳内の引き出しを探りまくった末、やっとこ私のことが出て来たらしい。
そろそろ末期だと思うのは私だけであろうか。
 「…まじ忘れないでよね」
 「…フン、・・・そうだ、先程まで飛段という白髪をオールバックにしている単細胞生物がいたのだがな…」
 「おぉ!」
…飛段が?
飛段か…一回会ってみたいな。
 「どこにいるの?」
 「さぁ、分からん。ジャシン教を広めるとほざいて野を駆けて逝ったぞ」
 「…そか」

 「あぁ、そうですサチさん」
思い出したかのように鮫がキッチンから顔を出し、口を開いた。
 「…ん?」
 「サチさん、今木の葉でさらわれたってことになってますよ?」
 「い?・・・えーと、誰が誰にさらわれた?」
 「サチさんが暁にさらわれたということになっています」
 「・・・何で?」
 「俺が説明しよう…」
イタチが横から割り込んできて、言う。
 「サチが気絶した後、あまりの可愛さに俺が小脇に抱えて運んでいたのだ。そうしたらカカシさん、紅さん、アスマさんに見つかってな。自来也さん、ナルトくんにも見られたかな?あとサスケにもな…」
…多くないか?
もう絶対さらわれたってことになってるよ。
おいおいカンベンしてくれよ。
 「…うーん、私はどうやって帰ればいいの?」
 「さぁ?この際だからもう暁に入団してしまえ」
 「いや駄目だって」
…のこのこと簡単に木の葉の里に帰れない状況なのは分かった。
・・・これからどうする、私。

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あきゅろす。
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