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黒白ノ風
148 意地
暗闇から晴れた視界。
私は体をむくりと起こした。
 「兄さんは心配だったぞ!」
起きて早々、横にいたらしいイタチが話しかけてきた。
 「・・・あぁ、あざーす」
そう言いながらふと辺りを見回す。
どうやらここは暁のアジト内らしい。
途中である人物で目が止まる。
そこには焼き魚・・・間違えた。
服やら何やらが焦げた鮫がいた。
私と目が合うと鮫は呪うかのような勢いで目を見開き、私を睨んだ。
私はその瞬間、目をそらした。

そんな様子の鮫が横にいるというのにも関わらずイタチは口を開く。
 「お前が気絶したのは鮫のせいだろ?そうだろう?…しかし、鮫の言い分は“サチが勝手に岩に頭をぶつけて気絶した”らしい。サチがそんな馬鹿のような気絶の仕方をするなんてあり得ない。やはり鮫はナンセンスだ」
…と。
私が気絶した原因が本気で鮫のせいだと思っているらしい。

 「・・・ははは」
それにしても、イタチの言葉が私にさささる。
…勝手に岩に頭ぶつけて“馬鹿”みたいな気絶の仕方をサチがするわけがない…って。
いいえ、しましたよ。
それもとびきり馬鹿みたいな方法で。

まぁ…鮫…どんまい。
・・・イタチに疑われたうえ、火遁や何らかの術であぶられた。
鮫が私を睨んだ理由は分かった。
…とりあえずすいません、鮫さん。
そうやって心の中で謝ってみる。
しかし、それもむなしく鮫からの鋭い視線は止むことはなかった。

それをしばらく無視していたら視線を投げてきた本人、鮫がこちらに歩み寄ってきた。
そして言う。
 「勝手に気絶したサチさん、ご飯でもどうです?今日はコロッケなんですよォ」
先程と同じく鮫は目を見開き、充血させながらも私を呪う勢いで言った。
いつか目からビームが出そうなのは気のせいではない。
 「…はは、遠慮しときます。…それと・・・何かすんません」
あのような鮫の表情は見たことがない。
私は一種の恐怖を覚え、とりあえず謝った。

すると鮫は普段通りの表情へと一変。
いたって普通の表情へと戻った。
ぽかんとなる私。
…たぶん鮫は私に謝らせたかったんだと思う。
その鮫のしつこい意地…まぁ、謝らせた意図だけはつかめた。

・・・はぁ。
今の鮫との一件で本当に疲れた。
ここはおとなしく眠って明日皆と対面したいものである。
そう思った矢先、
 「あー!サチ!!うん!」
急に横からの声。
…あーあ、もっと疲れる人が来たよ。
とりあえず私の中では嬉しいのと疲れたので半々であった。

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あきゅろす。
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