[携帯モード] [URL送信]

黒白ノ風
144 書探
時は過ぎ、辺りは闇につつまれる。
まばらにかかる雲の合間からおぼろげに月が顔を覗かせていた。
その薄い月の光は窓越しに私に降り注ぐ。

今現在私はある場所に忍び込んでお目当てのものを探っているところである。
そのある場所とは…火影邸。
夜という暗闇にぼんやりと大きい建物、火影邸は佇んでいた。
ごく最近に三代目火影という主を失い、ひっそりともしていた。

何故火影邸に忍び込んだかというと、ふとほかじいと真白の間には何かしら面識があったことを思い出した。
そこで真白の術について何か関係のあるものがないかと思い、それを探しているのだ。

書物部屋のような場所へと忍び込む。
忍術の巻物が置いてある場所とは違うところに昔の書物がずらりと並んでいた。
普通の本仕様のものに文字が書かれているものから巻物のようなものまであった。

何故かマヨネーズの作り方などというものもあったがスルーし、その横にあった書物に手をのばす。
棚からスッと抜き取ってみると題名には立派な活字で“時空”などと大きく記してあった。
外見からすると茶色がかかり、あからさまに一昔前のものということが伺えた。

中身は…
ゆっくりと慎重に表紙を開き、ペラペラとめくってみた。
中身の内容は、はっきり言うと分からない。
ただ意味不明な文字が沢山連なっていた。
どうやら暗号化されているようだ。
これでは読めない…
パサ…
 「・・・?」
どんどんページをめくり、中を確認する。
読めない字がずらずらと並んでいたため、半ば読むということを諦めていた。
その時、めくったページの合間から一枚の紙がひらひらと落ちた。

 「…何だ、これ?」
頭に?を浮かべながら地面に落ちた紙を拾い上げる。
裏をめくると…
時空、軸、などという単語が見てとれた。
・・・読めるかもしれない。
直感的にそう思った。

その時!
ガタッ、ガタタッ!
 「・・・!」
突然の物音。
誰かが来た…?
・・・見つかったらヤバいよな。
そんなことを思いながら私は瞬時に印を結び、何とか読めそうな紙切れだけを手に持って火影邸を後にした。

 「・・・誰だ!!?」
少しして、誰かが書物の部屋へと入って来る。
その人は少し部屋の中を見渡し、
 「…勘違いか」
そう呟いて部屋を出ていった。

・・・警備の人、いたのか。
家の主、火影もいないことだし、火影邸には誰ひとりいないと思っていた。
しかし警備の忍らしき人がいたのだ。
はっきり言ってびっくりした。
後になって思う…もうほかじいがいないからこそ警備が強化されていたのか…と。
私はその人から逃げるように火影邸を後にした。

偶然見つけた意味ありげな一枚の紙。
解読すべく、家へと持ち帰った。

[←][→]

12/41ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!