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黒白ノ風
143 夕下
オレンジ色の光が私に差し込む。
朝から一日中空を支配していた太陽はもう沈みかけ、鮮やかな光を放っていた。
やがて月が空を支配し、暗闇がやって来る。

真白、サスケと別れた後、一度家に帰り、制服をこちらの任務用の服に着替えた。
何故着替えたか。
制服という服がこちらの世界では余りにも認識されておらず、異端だからである。
起用性としてスカートはいいが、ブレザーがとても動きにくいということもある。

普段の服に着替え、再び外へと出た。
あちらの世界に帰っていた(強制送還された)間、あちらでは1日という時間が流れた。
まぁ、木の葉の里では3分足らずという時間しか経過していなかったのだが。
1日ぶりとはいえ、幸い帰ってこれた木の葉の里。
それを、地面を踏みしめ、確認するかのように散歩していたのだ。

おかげですっかり日は沈み、涼しい風が私の頬を撫でる。
・・・あぁ、いいな…外。
…と、すっかり自然に癒やされている私である。
こうしてゆったりと木の葉の里を歩いていると今日あった出来事がまるで嘘のようである。
…またあっちに帰ったら木の葉の里の自然に囲まれた風景も散歩できなくなるのか。
ふとそう思った。
…そうなったら、嫌だな。
同時にこうも思った。

何故真白はこんなにも頑なに私を元いた世界に帰そうとするのか。
また今度何かあったらまた元いた世界に帰される。
そうなったらもう帰っては来れない。
今回はサスケがいたからまだ帰ってこれた。
・・・不安だ。
真白は私に“何か”があったら元いた世界に帰す。
だいたい“何か”とは私が悲しんだりすること。
…そんなこといくらでも起こりうる。
今後もそんなことが沢山…ある。
そんな中で果たして私は木の葉の里に留まることができるのだろうか。
・・・答えは否だ。
…人は悲しみという壁を越えて成長していくもの。
おっ、何気いいこと思った。
まぁまとめると、そんな私がぶつかる壁のことでいちいち帰されても困るのだ。

 「・・・」
そうだ、帰されるなら…
戻ってくればいいのではないか?
・・・
…どうやってだよ。
なんとか案が浮かぶものの、すぐに私の脳内で却下される。
真白たんが結んでいた印を覚えれたらな。
そんなことも思ってみる。
しかし、それは無謀に近い。
あんな小さな前足で、それも高速で印を結んでいるのだ。
覚えれるはずがない。
真白・・・やっぱり謎だ。

・・・そうだ…!
やっとこ思いついた少しはまともな案。
微妙な案…だが、わらにもすがる思いで実行してみたいと思う。
私はそのまま散歩を続け、日が完全に沈むのを待った。

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