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黒白ノ風
140 確信
 「…何故俺は気がつかなかったんだ?」
どうやらサスケは何か確信を得たようだ。
 「…おっ、やっとこ気付いたか。そうなんだよ、うちの家ってダイワハウ…」
 「違う!」
凄いけんまくで睨まれ、違うと一言吐き捨てられた。
…少しボケてみただけなのに。

 「じゃあ、何さ?」
私は改まり、少々の期待も込めて問いてみた。
サスケはというと少し間を置き、口を開いた。
 「あの狂った兎、真白とやらを口寄せすればいいんじゃねぇか?」
・・・真白を口寄せ…?
…おぉ、言われてみればそうだ。
待っても来ないなら呼び出せばいいこと。
根本的な部分を忘れていた。
 「サスケ、ナイス!」
 「・・・フン」
サスケは鼻を鳴らす。
 「じゃあ早速…」
それと同時に私は口寄せの印を結びはじめた。
着々と印を結ぶさなか
 「待て」
と声がかる。
私は真白を呼び出すべく口寄せの印を結んでいた。
しかし、それはサスケの手によって妨げられたのだ。

 「えー、何でよ?」
眉をしかめ、術の発動を阻害したサスケに対してブーイングを飛ばす。
 「この世界ではいきなり動物が出てきても大丈夫なのか?」
ここの世界を微妙に理解たかのような発言である。
 「…あ、そっか」
またもや根本的な部分。
前々からナルトに「お前は一般人として成り立っていない」とか言われ、罵られてきた。
今その言葉の意味を少しだけ理解できてしまったのは気のせいではない。

 「…はは、冴えてるねー。んじゃ、帰るか」
そう言いながら弁当を片付け、口寄せの術とは違う印を結んだ。
瞬身である。
一番手っ取り早く家に到着する方法はこれしかない。
スッ
という静かな音を立て、私とサスケは家路についたのだった。

 「到着ー!」
瞬時に家へと到着した。
まさに瞬身の術という技名がお似合いの術である。
辺りを見回し、見られていないことだけを確認する。
よかった。誰もいない。
そして玄関のドアに手をかけ、開こうとした。
ガッ…ガッガッ…
しかし、ドアは開かなかった。
何度となくドアを引くものの、鍵でもしてあるのか金属の音が虚しく響くのみであった。

 「…?あれ」
 「…そう言えば…お前の母親とやら、俺に弁当届けろって命令し、俺を家から締め出した後に鍵をしていたような…」
 「うぉい!マジかよ…」
どうする…
…外で真白たん呼び出すわけにもいかないし…
・・・
そだ、窓から入ろう。
 「サスケ壁登れるよね?」
 「当たり前だ」
サスケは当然の如く言ってのける。
それを確認すると私は家の壁に足をかけ、登り始めた。
家の壁。
まさかこれを垂直に登る日が来るとは思いもしなかった。
私達は目にも止まらぬ速さで素早く移動し、窓を開けてやっとこ家の中へと入室した。
侵入にも近かったのだが。
まぁ、幸い窓に鍵はかかっておらず、いとも簡単に入室できた。
ピシャ
サスケも入室したことを確認し、窓を閉める。
 「着いたね」
 「お前の家なのに何でこんな侵入方法してんだよ」
 「いやー、おばば怖いからさ」
私は苦笑いをする。
“おばば怖い”…そう言う私の言い分にサスケも納得したようだ。

少々深呼吸をし、ごくりと生唾を飲みながら
 「・・・じゃあ、真白たん呼び出すよ?」
と私。
 「…あぁ」
静かな白昼の室内で緊張の空気が漂った。

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