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黒白ノ風
138 久学
何とか学校までの道のりを自力(?)で見いだした私。
同じ制服を着た人達を尾行しながらというあまりにも怪しい登校だったが、なんとか1年ぶりの学校に到着した。
同じ制服の人を尾行…高校生としてははあるまじき怪しい行為だったのは間違いない。

朝のホームルームから始まり昼休みまで何とか過ごせた。
朝は、友達を見つけるなり手当たり次第に「久し振り!」と言っては「昨日合ったばっかでしょ」などと言われ、呆れられた。
しかし、私からしてみれば久し振りなのだから仕方ない。

もっと問題なのは授業。
化学室の場所を忘れ、1限目は遅刻。
美術室の場所も忘れ、2限目も遅刻。
3限目の地理は教室でだったのだが美術室から教室までの道のりも忘れ、遅刻。
4限目は保健。
こればかりは大丈夫だろうと思っていたが、急きょ保健が体育に変わった。
体操服の場所も忘れ、体育館に制服で登場した挙げ句、遅刻である。
遅刻のオンパレードであった。
まぁその遅刻した授業の内容はさほど面白くはなかった。
ほとんどを木の葉に帰る方法探しに充てたのは言うまでもない。

そして今は昼休みである。
がやがやと騒がしくなる教室をよそに私は自らのスクールバックの中を探っていた。
 「…無い…」
 「どうしたんサチー?」
朝から挙動不審な私に心配したのか友達も私と同様にバックを覗き込みながら問いた。
 「弁当忘れた」
 「…あはは!ウケるー!」
うなだれる私に対し、友達は慰めの言葉もないまま笑った。

・・・そういえば、朝は弁当を貰う暇もなく学校に強制送還させられたんだった。
…はぁ。
・・・この際、影分身使って出した影分身に午後の授業受けてもらうか。
うん、そうしようそうしよう。

 「水野さーん、何か男の人が呼んでるよー?」
サボるという結論を出した私にお呼び出しがかかる。
 「…えー?」
男の人?
・・・ってサスケ?
まぁ、んなわけないか。
あの格好で外出るわけないし。
 「弁当届けに来たんじゃない?」
友達はにやにやしながら教室のドアを見やる。
 「違うよー…たぶん」
私はそう言い、椅子から立ち上がると呼び出しをした人のもとへと向かった。

ガラッ
そして無造作に教室のドアを開け放つ。
ピシャ
瞬間、閉めた。
そしてそのまま自分の椅子へと戻った。
 「誰だったー?」
友達は私を呼び出した相手を問う。
 「・・・知らない人…ウン!
知らないひ…と…」
 「誰が…だァ?」
後ろに人影。
学校には合わないような私服の男が私の後ろで殺気を込めながら呟いた。
 「…あは、サスケ…」
学校に弁当を届けに来たのはサスケだった。
どこで手に入れたのかは定かではないが普通のかっこよさげな服を着ていた。

何故少々怒り気味なのか…
おそらく、わざわざ弁当を届けに来たというのに私が教室のドアを開けた瞬間に閉じた…という行動に多少の苛立ちを覚えたのであろう。
 「やぁvご機嫌いかが?」
私はサスケがどの程度イラついているのか検証してみた。
 「最高だぜ…お前の母親とやらに弁当届けろって命令され、服を着せられ、地図を持たされ、本当に気分は最高だぜ」
…このとおり、最高にイラついているらしい。

 「ねぇねぇサチ、その人超カッコいいんだけど!名前は?」
私の友達はサスケを見かね、名前を問いた。
 「・・・」
しかし、サスケは無言かつ仏頂面で私の友達を見やった。
 「・・・」
…うわー、答える気全くナシだよ…この
人・・・
 「ちょ、サスケ…弁当2つあるから一緒に食べようではないか!」
そう言いながら私はサスケを引っ張り、教室を後にした。

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