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黒白ノ風
134 姿戻
 「やっとか…」
サスケもため息まじりに安心したかのように呟く。
少しすると今まで見えていた光から私達は吸い込まれるようにして脱出した。

灰色のざらざらとしたアスファルトの地面。
立ち並ぶ建物。
その道はひっそりとしており人通りも一切ないといった感じだ。
そこの道の真ん中から何の前触れもなく2人の男女が出現した。
私とサスケだ。
何とか暗闇の中から脱出できたのだった。

私は辺りを見回す。
人は…いない。
…よかった。
人通りを確認したのだ。
まぁ、地面からいきなり人、私達が出てきたところを見られてしまっていたらかなり困るので。
辺りを見回して見つけたものが1つ。
スクールバックである。
中を確認すると、普通に財布、音楽プレイヤー、その他もろもろがきちんと入っていた。
…これは、私のだ。
1年ほど前にあっちの世界に行く際に落としたものだ。
1年とちょっとという時間が経っているというのにも関わらずそのバックの風貌は微塵にも変わっていなかった。
・・・おかしい。

 「・・・どうなっているんだ…しかもここは…」
今まで黙り込んでいたサスケが口を開いた。
 「ん、私の元いた世界?だよー」
私はスクールバックの中身を細かい場所までチェックしつつ、サスケの疑問に返答した。
 「・・・!!?」
 「・・・?」
…あれ?返事が帰ってこない。
 「・・・誰だ!…お前は!!」
 「…は?サッスンこそ頭狂っちゃったんじゃな、い……の・・・」
サスケの方向を向きつつ、罵りの言葉を浴びせる。
しかし、私の目の前にいたのはサスケだったがサスケではなかった。
年齢が違うのだ・・・
2、3年程度年齢が動いている。
…ってことは私も…
戻った…
私の体は16歳位の年齢に戻っていたのだ。
あっちの世界に到着した時、何故かナルト、サスケ達と一緒の年齢になっていたものが再び元の体に戻ったのだ。

 「…誰だ…」
サスケはとうとうクナイまで取り出し、私にその切先を向けた。
 「水野サチ、木の葉の下忍でーすv」
…そのままに言えば信じてくれるかな?
そんな期待を込めて言ってみた。
 「違う、あいつはもっと若い。それにアホ面をしている」
すると返って来たのはアホ面という何気に傷つく一言だった。
 「サッスン酷っ・・・じゃあさ、君も誰?」
私はたまたまバックの中に入っていた手鏡を突き出し、サスケに自分の顔を確認するように促した。
 「…誰だ?これは」
サスケは眉をしかめながら鏡を指差す。
サスケが指を差した鏡には2部でお馴染みのサスケが写っていた。
 「サスケに決まってんじゃん」
当然の如く答えた。
 「どうりで服がきついと思った」
 「私のもちょいきつい…」
 「…なら、お前はサチか?」
 「さっきからそう言ってんじゃん!まぁ、危ないから早くクナイしまってちょ」
 「…分かるかよ!ウスラトンカチ」
サスケは今まで私に向けていたクナイを降ろし、しまった。
 「まぁ、普通に到着したねーははは・・・んじゃ、帰るか」
 「どこにだ?」
 「家。私の家に。まぁ、この格好ここではハズイからとにかく行くよ」
ドロンと音を立て、私達は白煙に包まれた。
その白煙が晴れた頃にはそこには誰もいなかった。
ただ建物がひっそりとたたずむのみであった。

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