黒白ノ風
133 暗闇
真白に妙な術をかけられた私。
しかも何故かサスケが出現し、私と一緒に妙な術にかかってしまったのだ…
しだいに離れる地面。
もう真白は米粒程度の大きさにしか見えない。
やっとのことで状況を理解したころには私達の周辺、左右上下は全て漆黒の闇につつまれていた。
「…オイ!ウスラトンカチ!!」
サスケもはっとしたように私に声をかけた。罵声を浴びせたといった方が正しいのだが。
「わぁサッスン!そんな呼び方ないじゃんよ」
「お前があまりにもウスラトンカチだったからウスラトンカチと呼んだまでだ・・・それと…何だよさっきの白い兎」
サスケの言う白い兎とは真白のことであろう。
「私もよく分からない…」
これが本音だ。
今私にも真白が何をしたいのか、意図が掴めないのだ。
「それより!何で俺の呪印のこと知ってんだよ!・・・サクラから聞いたのか…?」
「サクラからは聞いてない。サスケの中忍試験予選の時に気づいた」
「・・・あと!何だよ世界って!2000年も生きる生物なんていねーよ!…なるとの世界?訳わかんねー」
「あー、サッスン盗聴!盗聴は犯罪だぞーv」
…あーあ、真白との話しの内容全部聞かれてるし…何で私も真白もサスケの存在に気がつかなかったんだろ?
「話をそらすなウスラトンカチ!」
…話がそらせない…抜け目ないな。
「・・・えーと、そのまま…の意味だよ」
「そのままって・・・まさか、とうとう狂ったのか!?あ…すまん、元からだったな」
「え?何それ!元からって…サスケの中では私の基準って狂ってんの!?」
「フン、当たり前だろ。ウスラ」
狂っていると肯定され、挙げ句の果てには呼び名が短縮され、ウスラになった。
「ははは」
これはもう笑うしかない。
「・・・やっと笑ったな…」
フン、と鼻をならしながらサスケ。
「はぃ?」
「お前がそんな辛気臭い顔してると気味が悪い。悪寒がする」
「気味が悪いって…」
「まぁ何でそんなにしょぼくれてるかは知らねぇけど・・・元気出せよ」
「・・・」
あー、じーんとしてきた。
…励ましててくれたのか。
随分遠まわしだったけどありがと、サッスン。
「・・・ところで何で上昇しているんだ?」
「んー、私の元いた世界に逝こうとしているから?」
「・・・」
サスケは何だコイツ…といった痛々しい目線を私に向ける。
「・・・サッスン黙り込むなよー」
「原因を作っているのは誰だよ!」
「はい!私であります隊長!」
目線を明後日の方向に飛ばしながらきりっと答えてみせた。
「・・・会話やめるか。疲れてきた…なんかサチにチャクラを吸い取られた気分だ」
サスケは疲労を訴え始めた。
私と話していると無駄に疲れるらしい。
「あー!」
「!?、出口か?」
「あーきのゆーうーひーーのー、てーるうやーまーもぉみぃじー」
「…いきなりなんなんだ」
「暗くて怖いから歌歌ってんの!」
「紛らわしいことすんな!ウスラ!」
「・・・あ!出口!上見て上!!」
ふと上に目をやってみたら遥かかなた上空に光のようなものが見えた。
きっとあれが出口であろう。
私は一刻も早くこの暗闇から抜け出したかったため、ほっとした。
そして上昇していくのだった。
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