黒白ノ風
132 結論
「え…?は?」
この世界…ってNARUTOの世界ってこと?
真白たんの“せい”で来た?
もしそうだったら真白たんの“おかげ”で
ここに来れたことになる。…のか?
「何故かというと…」
「あのさ…」
聞きたいことは山ほどある。
「最後まで聞くのだ…」
「…はい」
「・・・何故かというと我がおぬしを呼び出してしまったのだ」
「…そんなこと、無理じゃない?」
「さ、い、ご…まで聞くのだ」
水を差したら黙っていろと念入りに釘をさされた。
そして真白たんは一息ついてから説明を再開した。
「我がおぬしを呼び出すにはチャクラさえあれば造作もないことだ。…まぁその術を会得するのには膨大な年月が必要なのだがな。2千年も生き長らえていれば話は別だ」
「…!」
喉元まで驚愕の言葉が出そうになったが、何とか飲み込んだ。
真白たん何年生きてんだよ…
普通だったら白骨化してる年月ですよ。
「…まぁ、最初は別の者を呼び出そうとしていたのだがな」
「・・・」
…それで見事にハズレの私が出てきたってことですか。
「この術はチャクラを沢山使うのでな…その時はチャクラ切れを起こしてしまったのだ。…そこに運悪く熊が出現した…我は巻物から大剣を取り出してそいつと戦っていたのだ」
「・・・」
だから最初遭遇した時、熊に襲われていたのか…
「その時におぬしが現れて熊を撃退してくれたのだがな・・・そして、今に至るというわけだ」
「そうなの…」
「だが、本題はここからだ・・・我はおぬしを呼び出した。我にもそれなりに責任というものがあるのだ・・・最初のうちは良かった。ナルトの小僧と親しくなり、暗部へと入隊。なんだかんだで楽しそうにしていたからな。これでいい…と思っていた。しかし、近ごろはつらそうだったのだ…サスケという者の呪印とやらに三代目火影の死…」
「も、もう大丈夫だし」
私は少しどきっとしたが、すぐに言葉を繋いだ。
「おぬしが大丈夫でも我は大丈夫ではないのだ…我はサチが大好きでな。まぁ人をこんなに好いたのは久方ぶりだ・・・」
「なので、結論としては・・・おぬしを元いた場所に帰そうと思っている」
「なっ…!」
帰す?帰る?あの場所に…?
・・・あれ、体が動かない!?
何とか動かそうと試みるものの、私の体は手一本すら動かなくなっていた。
「すまぬな。金縛りだ・・・では…」
真白は静かにそう言ったかと思えば複雑な印を小さな前足で結んでいた。
そしてその前足を私にかざした。
すると私は光に包まれる。
この世界に来た時に包また光と同じものである。
…帰りたくない…
ガサッ
「ウスラトンカチ…何してんだ?」
突如、森の茂みから人が飛び出した。
その人は何故かサスケだった。
サスケはいきなり飛び出して来て、私と同様に光に包まれた。
「!?」
真白も驚きの表情を隠せないようだ。
少しすると私とサスケはまばゆい光に包まれ、上へと上昇した。
下を見てみると木々の緑の中にただ真白がいるばかりである。
「行ってしまったか…」
真白のつぶやきがじめじめとした雨降りの空に溶けた・・・
中忍試験篇 完
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