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黒白ノ風
131 雨降
三代目火影、ほかじいの葬儀も終わり、黒い集団がぞろぞろと散るように帰ってゆく。
天候は雨。
ほかじいの“死”に天も泣いているかのようだった。
私の心と同じように。

私はナルトと一緒に行動をしながら葬儀を済ませた。
しかし、今も変わらず空気が重い。
ナルトは一言も会話を交えようとはしない。
もちろん私もそうだ。
沈黙の時間が長く続く。
雨の音が私とナルトの沈黙という間を繋ぐ。
気まずいわけではない。
ナルトも私もこの沈黙の空気の方がいいのだ。
ナルトも私と同じように悲しんでいる。
それだけはひしひしと伝わって来るのだ。
私はほかじいを助けれなくてごめんと心の中で小さく謝る。

・・・そうだ。
私はふとある用事を思い出した。
 (…あのさ、用事あるから先帰ってて)
そのことを会話術でナルトに言う。
 (あぁ、分かった)
するとナルトはそれを承諾し、ゆっくりとした足取りで家路についた。

それを確認すると私は方向を変え、あまり目立たないようなひっそりとした森に足を踏み入れた。
この森で真白たんと約束をしているのだ。
前日、帰り際に話があるからここに来てくれと言われ、その通りに今私はここにいる。

森の中では天から降る雨が葉っぱ伝いに水滴になり、私に降った。
木の幹に体を預けて一息つく。
 「・・・来たか…サチよ」
少し落ち着いた頃、真白から声がかかった。
真白は雨に濡れ、自慢のふさふさな体毛はぴったりと体にくっついていた。
 「ん、話したいことって何さ?」
 「・・・それなのだが…どこから話していいのか」
 「どこからでもいいよ」
・・・何を話すのだろうという期待をよそに残念なものだったら嫌だな。という感情が私の中にはあった。
 「…単刀直入に言うぞ・・・」
 「どーぞ」
しかし、だいたいの事は受け入れるつもりだ。
受け入れることが出来る。
今においてはほかじいの死ほど悲しいものは無いと思うから。

 「…今おぬしがここにいるのは我のせいだ」
 「…何言ってんの?当たり前じゃん。真白たんがここに呼び出したんだし」
 「違う。この…この“世界”にサチがいるのが我のせいだと言っておるのだ」
・・・?
世界?世界…って、ナルトとかサスケとかサスケとかサスケがいるこの場所?
意味が分からない。
 「え?」
私は真白の唐突な言葉が理解できず、頭に?マークを沢山浮かべた。

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あきゅろす。
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