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黒白ノ風
125 出遅
突如私の視界を埋めた純白の羽。
それは時間が経つにつれて量が増え、視界を白く染めている。

何だこの羽。何か綺麗だ。
思わず見とれてしまうほどである。
あー、あのふっさふさの部分にお触りしてぇー。
まぁふさふさ具合では真白たんには負けると思うけど。
・・・ってかこれ…
幻術じゃね?
…お空から綺麗な綺麗な真っ白い羽が降ってきたーv…
とか、どこぞのファンタジーじゃああるまいし。
幻術じゃなかったら私自身が末期ということで。
えーと、田舎のチャクラを逆流…その逆だから・・・自分のチャクラを最低限止める!
 「よし!解!…できたらいいなー」
少し願望みたいになってしまったが、自分のチャクラを最低限止めてみた。
…すると今まで白んで何も見えなかった視界は本来のそれに戻った。

目の前には本選の中忍試験会場。
そこでゲンマさんと砂隠れのバキという人が戦闘を繰り広げていた。
・・・この試験はいつから上忍試験になったんだよ。…ってかバキって人もう上忍なんじゃなかったっけ?
そんな事を思いながらゲンマさんとバキを視野から外し、他の場所にも目をやってみた。
周りは戦闘、戦闘…
観客席では音の忍と木の葉の忍、それぞれがそれぞれの戦闘を繰り広げていた。

・・・出遅れた!
幻術を解くのに時間をかけすぎた。
私は慌てて席から立ち上がった。
 「うごっ!」
瞬間、私の頭に衝撃。
何事かと痛む頭を上げると、そこには音忍…が地面に倒れていた。
…おそらくこの人がいきなり立った私に当たったのだろう。
 「あっ、サチごめーんね」
横からは声。
そこにはカカシ先生がいた。
 「戦ってたらサチのとこ飛んじゃったv」
…飛んじゃったvって…悪気は無いにしてもうっぜー。
 「・・・」
…イライラしてる場合じゃない。
というかカカシ先生に構ってる暇が無い。
私には大切な大切なやることがあるのだ。
私は腐れ上忍に対するイライラを何とか心の奥底へとしまい込み、中忍試験本選会場を後にした。

出て行く時、カカシ先生は私を目で追っていた。
今回はどんな憎まれ口が飛び出してくるのかと期待していたのかもしれない。
本当にほんの少しの罪悪感。
先程まで私がいた場所には上忍がただ1人でぽつんと佇んでいたのだった。

本選の会場を抜けた私。
向かう先は決まっている。
私は途中、変化の術で暗部の姿へと変貌を遂げた。
もちろん誰にも見られないような場所で。
兎の面で顔を覆い隠す。コードネームは因幡だ。
暗部姿になった理由は、動き易いからである。
外見的、見た目の問題ではなく、地位の問題だ。
なので下忍の姿でいるより暗部の姿でいるほうが得策だと思ったので変化したのだ。
これからが重要、ここからが一番重要だから。

私は乾いた地面を思い切り蹴り、一気に加速した。

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あきゅろす。
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