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黒白ノ風
119 幻術
 「さて、主要の2つ目の方だ・・・まぁ、おぬしにとっては簡単であろう」
 「チャクラ逆流させるんだっけ?」
 「最低限止めるのだ」
私の非現実的な発言を聞いた真白は少し呆れ顔だ。
 「あぁ、そうだったね」
チャクラを止めるのか。
今私の体の中でチャクラが流れているのは感じ取れる。
これを止めるのか。
…はたして止めても大丈夫なのだろうか。
間違って血流止めたらどうなるんだろ…
酸素不足で倒れる?はは、うける。
・・・まぁ、止めれる訳ないのだが。

 「我が幻術をかけるから解いてみろ。要は慣れだ」
 「おぅいえす!」
 「・・・では、ゆくぞ」
真白は私を見据え、極めて簡単な印を結ぶ。
おそらく初歩的な幻術をかけるつもりであろう。
 「…真白たん待った!」
 「何だ?」
 「もっと難しいのかけていいよ。というかもっと難しいのかけて」
私には1ヶ月という長いようで短い時間しか無い。
こんなところで時間をかけてるほど暇でなはないのだ。
 「よいのか?・・・ならば…まぁそれなりのものをかけるぞ」
 「うん!よろしく」
私が承諾するとまたもや真白は印を結び始めた。
先程より少しは長い。しかしモーションが1、2個増えただけである。

・・・来た…かな?
そう思った瞬間に真白が私の視界でぼやけ、霞んで暗闇に消えた。
辺りはいつの間にか漆黒の闇に包まれ、上下左右どこも見渡す限りは黒。
おぉ、これが幻術かvすっげ。
これを戦闘中にかけられたらどうなるんだろう。
まずは気がつかない。
それどころか、また目が見えなくなった…などと勘違いしてしまうだろう。
そこのあたりが難しいところ。
少し幻の世界に感動し、それを体感していた。
ボトッ
すると肩に違和感。
これは、もしや・・・
冷や汗をタラーっと垂らしながら自らの肩へと目をやった。
 「ぎゃー!!!」
案の定だった。そこにいたのは中忍試験中に私の肩に落ちて来た蜘蛛によく似たものだったのだ。
 「・・・ははは!」
大丈夫大丈夫。これはおもちゃだ。おもちゃの蜘蛛さん。うん、大丈夫だってばよ。
…あぁ、そう思うとそんなんでもないな。
よし、そろそろ幻術解くか。
そう思った頃、肩にずしりとした重みが加わった。重量が増えたのだ。
先程の蜘蛛(のおもちゃと思い込もうとしていた物体)を見た肩とは逆の肩を見る。
…いるよ。蜘蛛さんの“人形”。
人形だよ人形。おもちゃのちゃちゃちゃー。
しかもそいつは私の元からおかしい思考を更に乱すかのように影分身的なものを駆使し、分裂しはじめた。
・・・やめて下さーい。
私の肩は分身場所じゃねーよ。よそでやれよそで。
…は、は、早く解かなきゃ。
・・・えーと、何だっけ?あれ、忘れた。
…そだ!他者にチャクラをォォォ…
チャクラをォォ…
どうすんの!?他者って何?
田舎?・・・ってナニコレェ!!

 「全くおぬしは何をしているのだ」
横から真白の声。
気付けばもうすでに幻術は解けていたのだった。
解いたのは私ではない。術をかけた本人、真白である。
 「慌てるな。幻術にはもっと強力なものもあるぞ」
 「あぁ、うん」
そうか、幻か。
それにしても感触が微妙に残っていて気持ち悪い。
解けた時に幻と気付いた自分の浅はかさが悔しい。
 「もう一度言う。自らのチャクラを最低限止めるのだ」
 「・・・うん」
 「では、もう一度」
真白は先程と同じように印を結ぶ。
すると私の視界も先程と同様に黒に包まれた。
そして蜘蛛も同じように降って来た。
・・・今度は大丈夫。たぶん。
 「よいしょォ!」
チャクラを止める…止める。
・・・真白たんも踏ん張ってるな。
それ以上に、止める。
勝負だ。真白たん!

・・・強いな真白たんは。
少しの間、緊迫状態が続いた。
いつまで続くのだろう?
・・・そうだ、これで一気にチャクラ流したらどうなるかな?
幻術はチャクラをコントロールされている状態。
要はそれをさせなければいい。
だから、チャクラを一気に・・・流す!
私は体中のチャクラを今度は速く流してみた。

 「よくやったな」
目をゆっくりと開くと飛び込んできたものは真白。
…解けた?…やった。
 「チャクラを一時的に止め、一気に流す…よく思いついたな。やはりおぬしはチャクラの扱いに長けている・・・」
 「うん!」
 「さて、サチは強くなりたいのだろう?・・・この後我と修行でもするか?先に言っておくが我は厳しいぞ?」
 「うぇ?いいの?」
 「おぬしは嫌か?…サチよ」
 「その逆!!よろしく!」
真白と修行・・・
この小さな白兎という見た目からは想像もつかないが、きっと…いや絶対真白は強い。
微動だにしないで突風を発生させたし、大蛇丸との戦闘でも私の周辺に結界をはって追い払ったらしいし…
そんなことを思いながら私は胸を踊らせた。
 「では、始めるぞ」
ここから1ヶ月、真白との修行が始まり、休まぬ日々を重ねたのだった。

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