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黒白ノ風
113 自業
 「ぐあっ!」
ゴッ ドサ
私の放った拳は感覚的にカブトの腹に衝撃を与えた。
その後すぐに壁へと物がぶつかる音が会場内に反響した。
おそらくカブトは地面で一回もトラップしないまま壁へと叩きつけられたのだろう。
どれ程私が拳にチャクラを込め、放ったのかがうかがえる。

少しの無言の後、
 「勝者、水野サチ!」
とハヤテさん。
それと同時にワッと会場が湧いた気がした。
たぶん気のせいではない。
目は見えないものの、耳はちゃんと聞こえているから。
 「しゃーんなろー!サチ、ナイスよ!!」
と、サクラ雄叫びにも似たような声も聞こえた。

はぁ、やっと終わったのか。何か長かったな。
そもそも最初の一撃でカブトを倒していれば試合はこんなにも長引かなかったはず。
手加減しなきゃ良かった。
そう自分の失態を反省する。

そんなことを思いながら少しばかりこの場にとどまっていたら
 「サチ、やったってばね!!」
とナルトの声も耳に入った。
はは、ナルトだ。
・・・わぁお、ナルトがやったってばね、っておっしゃっていらっしゃる!
最近会話術でトゲのある、というかトゲしかない言葉の数々しか言っていなかったナルト。
しかし、今はどうであろう。
きっとにこにこ笑って私に語りかけていることであろう。
フフッ、何かテンション上がってきちゃったよ。
 「わー!ナルトォォー!!v」
私はそう叫び、ナルトの声がする方向へと駆け、向かった。
グキ
 「う゛っ」
その途中、柔らかい何かを踏んだ。
しかし未だに目が見えないため、何を踏んだのかは分からない。
う゛っ、などと聞こえた気もするが、きっと気のせいである。ことを願いたい。
私は柔らかい物を踏んでいるということもあったためかバランスを崩し、前のめりに倒れた。
ゴッ
 「うべっ」
倒れる途中、おでこに鈍痛が走った。
前のめりに倒れる場所には何らかの障害物があったのだ。
たぶん壁であろう。
 「いったー」
その衝撃で私の体は再びよろけ、今度は後ろへと倒れ込みそうになった。
 「全く、危ないでしょ」
しかし、そうはならなかった。
 「カカシ先生ナイスv」
カカシ先生によってなんとか倒れずに済んだのだった。
少し、いや、だいぶカカシ先生のことを見直した瞬間だった。

 「そだ、先生ー、これ何?」
私が壁に頭を打ち、転びそうになった原因を指差し、言った。
 「…んー、それはサチの対戦相手だヨ」
・・・私の対戦相手?…私の対戦相手は・・・カブト?
あぁそうか。
私の最後の攻撃によってカブトは壁へと叩きつけられた。
今私がいるのは壁際。
だからこんな場所にカブトがいるのか。
そしそそいつを私が踏んだということか。
私の目が見えていれば踏まれずに済んだもの。
…うける。
これこそまさに自業自得という言葉が当てはまる。
 「ザマ-ミロ」
そう私は小声で呟いた。
 「んじゃ、上行くヨ」
そしてカカシ先生と共にギャラリーへと戻るのだった。

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