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黒白ノ風
112 人違
ボゴッ
第3試験予選の会場内の地面が何者かによって破壊される音が響いた。
辺りは白煙が張り巡らされ、視界は悪いらしい。
まぁ私はもともと視界0だから関係ないのだが。
地面をつきやぶり、地中から飛び出したのは言うまでもない、私である。
この行動はターゲットに狙いを定め、俊敏に移動し、逃げられないようにするため。
相手を拘束してしまえば視界0の私でも攻撃など容易い。
もっとも、先程のように闇雲に攻撃はもうしない方がいいと思ったからである。
狙うならまぐれではなく、確実に攻撃を当てたいのだ。
時間を延ばしても私の状況が不利なのには変わりはないのだから。

勢いよく地面から飛び出した私はターゲットの不意をつき、首に腕を回して拘束した。
 「つっかまーえたv」
そして、そう歌うように呟く。
ターゲットの人はというと私の拘束から逃れようと少々もがく。
 「ギブアップする?するなら痛い思いしなくて済…」
 「今サチさんが捕まえているのは私、月光ハヤテですよ?ゴホッ」
私の言葉は言い切る前にさえぎられた。
しかも内容も衝撃的なものだった。
 「ぇ」
・・・そういえばカブトとはチャクラの質が違う。
この人が言う通り私が今拘束している人はハヤテさんだ。
 「…ぁ、すんません」
私はきつく締め上げていた腕を下ろした。

・・・だったらカブトはいずこへ?
気配を探る。その途中、
 「ボクはここだよ。後ろ後ろ」
突如、私の後方からカブトの声がした。
とっさの判断で構えようとした瞬間、脇腹を蹴られた。
そのまま私は地面にひびを入れながら会場の地面を跳ね、滑った。
 「ぐっ」
私は苦痛の声をもらす。
そこにカブトが静かに降り立ち、言う。
 「残念だったね。白煙なんて晴れてしまえばこっちのものさ。もっと粘ってくれると思ったん…!?」
ボゴッ
カブトの発言は途中でさえぎられた。
それと同時に地面を壊す音が立つ。
 「なっ、足が…!」
カブトがこう言う理由。
それは本人も言う通り足にあった。
カブトの足には地面から生えるようにして手が置いてある。
その手によって動きを止められたのだ。
その手が生える地面からの声。
 「つっかまーえたv」
と。地面から手が出現しているさまはどう見てもホラーである。
これで少しの間カブトは動けない。

先程私は地中に潜った際、土の中で影分身を2体程度作った。
その作った影分身の1人は地上へ。
そして気配を消しているカブトの捜索。
この影分身はカブトに殴られ、その後いつの間にか消えた。
もう1人は地中からカブトの足を拘束。
動けなくするのだ。
その影分身は今もカブトの足を拘束中である。

それらの行動をする2人は私の影分身。
私の本体はというと、カブトがいる位置より少し離れた場所にいる。
そこで手に高密度なチャクラをためてから固く握りしめ、走り始めた。

私を振り払おうともがく。
そんな状態のカブトに向かう足音が一つ。

 「いっちょ前に気配消してんじゃねぇよパーンチ!!」
…とりあえずネーミングセンスは気にしないで欲しいものだ。
それほどよく憎しみがこもっているということで。
勢いよくスピードをつけ、カブトへと思い切り拳をぶつけた。
私の放った拳は見事にカブトヘとクリーンヒットしたのだった。

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