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黒白ノ風
106 辞退
「辞退者は・・・いませんね」
下をうつむき、白から貰ったブレスレットの冷たさに惚れ惚れしていると驚きの発言が私の耳に飛び込んできた。
私は驚き、目を見開いて辺りを見渡し、最後にハヤテさんを見た。
辞退者は、“いない”!?
おかしい。
カブトはどうした。早く手上げてやめますとか言えよ。
こちらとて暇なんだよ。
私の頭の中では原作という言葉がぐるぐると回っていた。
 「・・・そこの方、どうかしましたか」
よほど私の行動が不信だったのであろう。
ハヤテさんは眉をしかめ、私に問いた。
 「…ぁ、あぁ大丈夫っす」
少しして私にその言葉を言っているのだと気づき、どもりながらも何とか答えた。

その後、私は顔を下にやり、記憶を探った。
…何故、何故だ?
何故カブトは試験を辞退しない?
カブトの本当の目的は…アレ、何だったっけ。
・・・ぁ、そうだ。
カブトの目的はサスケの情報収集。
しかし、そうだとしてもそれはもう死の森の一件で終わったはずである。
だとしたら、何故残る?
取り忘れたデータでもあるのだろうか。
もしかしてまだ他にデータを取るべき人物がいるというのか。
そう考えてみても答えは見つかるはずもなく、私は普通なら考えないようなものも視野に入れてより深く考えてみた。
だが、分からないものは分からないのであった。
・・・謎だ。全てが。
とりあえず考えることは止めた。
そのうち答えが見つかると思ったから。
別にこれといった根拠はないが。

私は何となく顔を上げ、音隠れの里の担当上忍、大蛇丸を見やった。
すると、丁度ばちっと目が合った。
私が音の担当上忍の素性が大蛇丸ということをを知っているということを大蛇丸は分かっているのだろう。
ならば…私はそう思い、その目を放さない。じっと大蛇丸を見据えた。
大蛇丸も私と同じように私を見据えている。
しばしの睨み合いが続き、私から目を逸らそうと思った時、大蛇丸の口角が上がったような気がした。
それを見た瞬間、体中に悪寒が走った。
ねっとりとした、這いまわるような感じ。まるで蛇のようであった。

しかし、私にとってその大蛇丸の行動は別の意味で解釈され、悪寒が走っていた。

・・・うわっ気持ち悪っ!
いい年頃の女の子見てにやけるとかないわー。
どうした。オロッティー。
人前でにやけちゃ駄目だよ。
不審者だと思われてポリスメンに捕まるぞー。
・・・と。
何故大蛇丸は口角を上げたかなど、私にとってはそんなもの眼中にないものだったのだ。

ガガガ
大蛇丸との微妙なやりとりの後、機械音が試験会場内に響いた。
音のした場所には四角いプレートのようなものがあった。
ここでハヤテさんの説明が加えられる。
 「・・・この電光掲示板に対戦者の名前を2名ずつ表示します」
…出た。
カタカナの日本語と英語のVSの文字しか表示されない掲示板が。出たよ。
 「では、早速ですが第1回戦の2名を発表しますね」
そのハヤテさんの言葉を聞き、会場内、皆電光掲示板を緊張の面持ちで見つめる。
会場内は緊迫した空気がただよい、沈黙に包まれた。

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