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黒白ノ風
098 窓壊
ガッシャーン!
そう音を立て、割られた試験会場のガラス。
イビキさんの説明がほぼ終わった頃にガラス割られたのだった。
割った人はというと、クナイで黒い布の端を広げた物の前に立っている。
布には白い文字で第2試験試験官みたらしアンコ参上!と、でかでかと書かれていた。
 「私は第2試験官!みたらしアンコ!次いくわよ次ィ!」
 「・・・」
試験会場はテスト中の時を遥かにしのぐ静けさに包まれたのであった。

・・・などということもあり、今は同意書と巻物を交換しているところである。
ここは第44演習場。
別名“死の森”と呼ばれている場所である。
どでかい木々が自由に青々と生い茂っている。
森の奥にいくほど影が濃くなっていて、ただでさえ不気味なのにそこが更に不気味さをかもし出している。
森の外側に2、3個錠が付いているフェンスが設置してある。
その横に立ち入り禁止区域と書かれているところを見ると、余程危険な場所だということが伺える。

第2試験は何でもアリアリの巻物争奪戦。
天と地の巻物を争奪し、両方の巻物を持って死の森の中央にある塔に行くのだ。
私は1人受験なので絶対と言ってもいいほど他のチームに狙われるであろう。
私は1人なので巻物を持っているのは私しかいない。
よって狙われやすくなる。
下手に他のスリーマンセルチームを狙って1人1人巻物所持の有無を確認するよりワンマンセルの私を狙った方が効率は上がるからだ。
しかし私も伊達に1人のチームをやっているわけではない。
敵が来たらお手やわらかに追い払ってやる。
もし私が本気的なものを出したら森にどでかいクレーターでも出来るであろう。

私は貰った天の書の巻物を忍具ポーチへと収納した。
体をあらゆる方向へと伸ばす。準備はいい。もう整っている。
森の入り口に目をやると試験官の人がフェンスの錠を外していた。
私が森へと入るゲートは14である。
番号の確認などをしていると、ゲート前にいる試験官の人が時計を気にしはじめた。
もう直ぐ始まるということであろうか。
1人(+1匹)で受験するという私のかすかな不安の奥底にこみ上げる気持ちがある。
それは高揚感。
波の国の任務以来、修行内容を強化した。
自分の弱さに嫌気がさしたからである。
もう見ているだけでは駄目だ。
何か行動をしないと何も変わらないから。
血の滲むような修行を経てここまで来た。
変えるために。
ここまでの自分の力が試すことができる。
私は強くなったか否か。
それを試すために今ここにいるのだと思う。
 「これより中忍選抜第2の試験…開始!!」
そう、アンコさんの声が森の中で反響して響いた。
私はその声とほぼ同時にフェンスの入り口をくぐった。

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