黒白ノ風
097 無謀
無謀な挑戦をし始めた私。
まず試験用紙に名前を書き、ざっと問題を見回した。
やはり文字が多い…
さて、いっちょやってみますか。
私は第1問の問題内容をじっくりと読んだ。
<第1問>
次の暗号文を解読し、要約を書きなさい。
その問題文の下には正方形の漢字の塊があった。
ざっと150文字はある。
しかもその中の文字自体もなかなか難しいものばかりだ。
辞書をテキトーに開いて、そこから抜き出したかのような文字である。
・・・暗号…うん、100%暗号だなこれ。
しかも文字しきつめすぎでしょ。
目がチカチカして痛いし、目ェ悪くなったらどうするんだこのやろう。
というか要約って何?
…いやいや、こんな問題解ける人いるわけないでしょ。
・・・あぁ、だからカンニングせざるおえないのか。
1人自問自答をする私。
・・・1問目からギブアップ。
2問目以降の問題の内容もじっくり読んだが、まるで分かるものはない。
内容すら理解できないのだ。
全ての問題に目を通したものの、一気に集中力をそがれた。
・・・集中力がそがれたことにより、一気に暇になってしまった。
鉛筆をくるくると回し、考える。
…どうしてくれよう。
一度暇だと思うと、とことん暇だと感じてしまうのが私である。
私はとりあえず怪しまれない程度に辺りを見回した。
目に飛び込むものは皆熱心に鉛筆を動かし、問題用紙と向き合っているものだった。…今の私から見ればそれは感心という言葉が丁度いい。
1人の人で私の目が止まる。
その人は、お隣さんの我愛羅だ。
我愛羅は手の平に砂で目ん玉を制作していた。
私は何をするかとじっくりと様子を見守る。
すると我愛羅は何の前ぶれもなく手に力を込め、砂の目ん玉を握り潰した。
グチュ!
と音を立て、砂の目ん玉はもとの砂へと戻った。
・・・うぉ、グロ!
潰れる瞬間直視しちゃったよ。
掛け声とかかけろよな。
…そうだ、私が勝手に盗み見したんだった。
またも自問自答を繰り返す私である。
・・・やはり暇だ。
問題用紙に目を戻す。
余りにも暇なのでその白い部分に落書きしてみるものの、時間はあまり進まず、まるで時が止まっているかのように感じた。
(どうした?サチよ。紙が真っ白ではないか)
突然耳に響いた声。
そうだ、真白たんが肩に乗っていたんだった。
(どうせ書かなくても合格だし。今超暇なところ)
(そうか、なら話しでもしようではないか)
(そういえば最近会ってなかったしね)
(・・・そうだな…サチ、おぬしが元いた場所について聞いてみたいものだな)
(いきなりそこにくるか。まぁいいや。まぁ一言で言うと微妙なところ。平和だけど面白みがなくて…あ、別に戦争起こってほしいとかそういう意味じゃないからね。まぁ毎日が退屈だったね)
(そうなのか…では、こちらの場所はどうだ?)
(最高というか最強。退屈もしないしみんなかっこいいしかわいいし、人生が変わったような気分。まぁ悲しいこともあるけど頑張ってきてるとこ)
…何でこんなこと聞くんだろう。
そう思いつつ、私は答えた。
(フ、そうか)
真白は浅く笑う。
・・・やはり何者なのだろう、この子は。
気になる。
(…そういえば真白たんって何者な…)
バン!
私が思い切って真白に問い正そうとした瞬間、何かを叩く大きな音が試験会場内に響いた。
その後にすぐナルトの声。
「なめんじゃねー!!オレは逃げねーぞ!受けてやる!もし一生下忍になったって…意地でも火影になってやるから別にいいってばよ!!怖くなんかねーぞ!」
…と。
(あの小僧か)
・・・真白への質問を言い逃した。
早めに聞いておけばよかった。
真白たんは何者なんのだろう。
その疑問が私の頭の中でぐるぐると回っていた。
くそ、ナルトめ…大切な機会を。
・・・この後、イビキさんに合格を言いわたされた。
試験内容の詳細や補足なども多数加えられ、説明された。
とりあえず何もしていないが第1試験を突破したのだった。
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