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黒白ノ風
096 字多
とうとう始まった中忍試験。
まずは筆記試験。
ということで私は今26番という札の席に着席したところである。
少しすると右から試験の用紙が回ってきた。
私はそれを受け取り、一枚取った。
そしてそれを左へと回す。
のだが、回す途中で手が止まってしまった。
 「…うわぉ」
私は思わず感嘆の言葉をもらした。
それもそのはず、私の左腕隣にいたのは我愛羅だったのだ。
おぉ、かっけぇな。
まさかこんな場所でお目にかかれるとは…今日は運がいい気がする。
それにしても目の縁、あれ本当にクマなのであろうか。
すごく濃いし・・・まるでパンダのようだ。いい意味で。
私がそんなことを思っていると…
ずっと前を向いていたはずの我愛羅が眉間にしわを寄せながら私の方に顔を向けた。
 「・・・?」
首を傾げる私。
すると我愛羅は
 「さっさと回せ」
とだけ言った。
言われて気付く。
私は試験用紙を手に握り締めたままだったということを。
 「おぉう・・・パ…すんません」
私は慌てて試験用紙を我愛羅へと渡した。
とっさにパンダという単語が口から出そうになったが、なんとか抑えた。
怒りを買って砂に攻撃されたらたまったものではない。

・・・というか、この我愛羅の言動…反抗期真っ盛りじゃん。
さっさと回せだとさ。
まぁ早めに回さなかった私も悪いのだけれど。

とりあえず試験用紙は裏のまま机に置いてある。
受験者全員に用紙が行き渡ったことを確認すると、イビキさんは説明を始めた。
しかし、私はその説明を右から左へときれいに聞き流した。
なぜなら、聞くに足らないものだからである。
この試験はカンニング公認の偽装、隠蔽術を駆使した情報収集戦を見る試験でもある。
この試験の本題は中忍の部隊長の資質を見極めるものだから。
やはり物事を知っているというものはとても便利なものだ。

そういうことを踏まえ、この試験用紙を白紙で出しても合格できる。
つまり、何もしなくても気付いたら合格。
といった感じになるのだ。

 「・・・よし、始めろ!」
試験会場内に響くイビキさんの声。
気がつけば、もう説明はとっくに終わり、筆記試験が始まっていたのであった。
私も他の受験生と同様、裏側になっていた試験用紙を表へと返した。
瞬間、目に飛び込んできたものは文字、文字、文字。
印刷もあるが、ところどころ黒である。
これを見た瞬間、私は解いてみたくなった。
暗号などは全く分からないが、やってみたくなったのだ。
原作で難しいと皆言っていたが、どれ程難しいのか見てみたかったから。
これでも私は少々頭はいい方だと思っているつもり。まぁ思い込みだけど。
・・・私は無謀とも言える挑戦を始めてみた。

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