恋して良かったです
「二度も聞きません。なのでもう一度、別の言葉でお願いします」
と言うとサソリさんは、さて寝るかとそっぽを向いた。
おやすみなさいじゃねーよ
「お願いします二度も同じ事は言わなくて良いのでお願いしますサソリさん!」
「二度も言わせるなって言っただろうが」
「だから二度も同じ事は言わなくて良いので…!」
「意味が同じだ」
結局同じ事を二度は言ってくれないサソリさん。 どうせならもっと分かりやすい一度目が聞きたかった、とも言わせてくれない。
「サソリさん……聞いてますかサソリさん。サソリさーん」
「うるせーな殺されたいのか」
むしろ何か言ったら殺すと言われた。これは何も言えない。
「わかりましたもう何も言いませんおやすみなさい」
冷たくそっぽを向けどもサソリさんと二人、一つ布団の中が体を温める。
こんな状況こそ殺されかねない
「………あの、寝ちゃいましたかサソリさん」
殺されかねないけれど、殺されないのだから何かを言っても殺されないだろう。
なんて思って良いかもしれない
「私、サソリさんに恋して良かったです」
けれどあくまで、殺されるかもしれないなら最後に何か言っておこう。
サソリさんから返事が返ってくる事はなかった。
という事は、良かった。
殺されないわけだと思ったのに
「サソリさんは……」
「……おい、聞こえなかったのか」
「…………!」
これは殺されかねない
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