駄目を裏返せば駄目じゃない
「はぁ、」
「はぁ、」
飛段と溜め息が重なった。
同時に目と目のやり場も重なる
「何かあったのかよサソリ」
「何かあったの飛段」
二言目もぴたりと重なる。どうやらお互いに言いたい事は同じらしい。
「名前の事で」
あくまで名前の体をしたサソリに向けての言葉で、名前は言った。
一方それを知らない飛段は名前に向けての言葉を、サソリの体をした名前に言った。
お互い言いたい事は同じだが、全く違う。
「構ってくれねーんだよなァ名前ちゃん」
「同じく……」
だが同じは同じであった。
サソリさんが嫉妬してくれているのだと思うと構ってもらいたくなって、ついデイダラに惚れている仮定を否定しなかった名前。
結果は、構ってもらえなくなったとは言うまでもない。
「オレもう駄目なのかもしんねー」
いつになく悲観的な飛段。構えば構ってくれたサソリさんが、構っても構ってくれないのだから駄目かもしれない。
「私も駄目かも……」
駄目かもしれないとは思ったけど、構ってくれないという事はつまりサソリさんは…
「駄目……じゃないかもしれないよねこれ」
恋に駄目なんて言葉は似合わないのだ。
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