口にせずとも伝わるものもある
今はじめて、戻らなくても良いかもしれないと思えてきた。
「良い訳ねーだろ」
今はじめて思ったのに、サソリさんはまさかずっとそう思ってたのかと言ってきた。
な訳ねーだろ。
「やっぱりテメー、デイダラに惚れてるから戻らなくても良いって思ってやがったんだな」
な訳ねーだろ。
確かに今まで、元に戻そうという意気込みを見せた事は無いけれどデイダラに惚れてるなんてそぶりを見せた事もない。
サソリさんに惚れてるというそぶりなら、いくらでも見せたのにサソリさんは見てくれていなかったのだろうか。
「ああ、そうか。だからテメーは俺に惚れてるそぶりをわざと見せてやがったのか」
サソリさんにはどうやら、わざとらしく見えていたようです
「そうだよなァ、あいつが惚れてる人間を考えりゃそのままの体で居たいって思うはずだよなァ」
惚れてる人間=自分だとはあくまで言いたくないサソリさん。
が、あくまでデイダラが惚れてる人間とはサソリさんだ。
確かに私がデイダラに惚れているなら、サソリさんの体のままで居たいと思うだろう。
そこでサソリさんに心を奪われているそぶりを見せ、サソリさんの体を奪ってやろうという魂胆を見せたのだ。
と、サソリさんの口が言っていた気がする
な訳ねーだろ。
あくまで私が惚れてる人間とはサソリさんなのだから。
「何言ってるんですかサソリさん!私は、はじめからずっと」
「ああ、そうだな。確かにはじめは俺がデイダラとの任務も良いじゃねーかとは言ったが、ならずっとデイダラと行くって言ったのはテメーだよなァ名前」
「だから…何を言ってるんですかサソリさん」
だから、デイダラに惚れてるから体が戻らなくても良いって言ったんだろとサソリさんの口は言っていた。
というよりも、聞こえた。
このサソリさんがご丁寧に口で教えてくれる訳が無い。
「あの、もしかしてサソリさん」
「ああ?」
「もしかして、それってつまり…」
それってつまり、嫉妬してる訳なんだろ。
[*前へ]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!