気持ち悪い
「分かるぜ、デイダラちゃんの気持ち」
分かってほしくないやつが分かっていた。
「何がだよ飛段」
「だからさ、サソリのやつにドキッてすんの」
「………!」
うわまたドキッてした
トビの言ってた通りだ。ドキッてしたなら、確定してる
「オレもさーサソリのやつなんかがたまに可愛く見えちまうんだよなァ」
「え……飛段もか?」
うん、確定してるなこりゃ。
オイラもだって自分でも分かっていないくせして口が勝手に言ってた。
「まー男らしい名前ちゃんにもドキッてするけどよォ、サソリのやつ最近何かさ女らしいっつーか、花があんだよな」
「だよな、やっぱそう見えるよな」
「まさか恋してたりしてな」
「え……!」
オイラの事かと思ってドキッてした。
やっぱりオイラ、旦那なんかに恋してたんだ。それを証拠にさせたのは飛段が続けた言葉だった。
「サソリのやつ、恋してんのかもな。最近女みてーな溜め息ついてたからよ」
「……っ!」
旦那が恋してるなんて分かってた。のに、改めて恋してるんだって聞いた瞬間に胸がドキッてした。
やっぱりこれってつまり、恋してるって事だ
「まー相手は名前ちゃんだろーなァ、曖昧な事言ってたけどよ」
名前が好きだって事も分かってた、のに。これ以上分かりたくないくらい胸がドキッてして苦しくなった。
これが恋ってやつなのか。
実際、体感してみないと確かに分からないもんだ。
「もうサソリの旦那の話はすんな、飛段」
「オイオイ、こっからじゃねーか。何でだよ」
「聞いてて気持ち悪ィーんだよ、うん」
恋ってやつは、気持ち悪いくらいドキッてする。
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