戻れなくなります
「名前、テメーはショック療法ってやつを知ってるか」
「いいえ知りません」
知りたくもないのに、サソリさんはわざわざ説明をしだした
「体に刺激を与える事で」
「もういいです分かりました」
つまり、どうしてもサソリさんは私を殺したいようです。
いくら体がサソリさんだとはいえ、殺したいようです。
「分かりましたからその、見るからに危ない刃物を離しましょうよサソリさん」
「分かってねーじゃねーかショック療法」
「ショックを通り越しますからそれは」
それでもサソリさんは、体を戻すためだと言い切った。
そんな事は聞きたくなかったのに。
「テメーが馬鹿みてーな意見だしやがるせいだ。次は無いと思えよ」
サソリさんとしても、無意味であったあの話は聞きたくなかったほどに屈辱だったらしい。
だからといってショック療法だなんて危険な体の戻し方を考えないで欲しいものだ。
本当に戻ってこなくなりそうじゃありませんか。
「バレるとテメーがリーダーに怒られるなんざ知った事はねェが、さすがにお前の体のままで居るのも嫌気がさしてきた訳だ」
言いたい事が分かるか、とサソリさんは見るからに物騒な刃物を握ったまま聞いた。
「つまりバレるのも嫌気がさす訳ですね」
それも一理あるのか、サソリさんは無言を返した。
つまり一理あるが、言いたい事はそれでは無いらしい。
「サッサと戻さねーと分かってるよな?」
その答えは口にせずとも、簡単だ。
「分かりました。やっぱりサソリさんは殺したいほど私の体が嫌なんですよね」
つまりそういう事だ。
サッサと戻さなければ、殺しちゃまずいのに殺されるかもしれない。
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