この馬鹿どうにかしてください
いくら馬鹿とはいえ、空気が読める馬鹿は馬鹿では無い。
「この間ボコりにやって来たのはどうやら中身がサソリらしいな」
「あ、やっぱり見抜いてたんですか角都さん」
「当然だろう。飛段はともかく俺にまで手を出そうとはお前にしては軽率すぎる。結果は目に見えているからな」
まさにその通りだ
中身も私であれば、この人なんかに手は出さない。
飛段はともかくこの人に手を出そうものなら本気の返り討ちを喰らう結果は目に見えていた。
「中身がサソリだというのなら今回だけだ。見逃してやる」
どうやら角都さんの見逃してやるとは、体が入れ代わっている事を公表しないという意味も含まれていたらしい。
「見ているのも悪くはない」
つまり完全に中身が入れ代わった私とサソリさんで楽しんでいた
さすがは空気の読める馬鹿だ。
「見逃してやるかわりといっては何だがお前に一つやって貰いたい事がある」
「え、まさかそれこそ本題だったりしませんか角都さん」
「察しが良いのはサソリの体だからか」
例え私の体だろうと残念ながら分かる。
そもそもこの人に呼び止められる事自体がはじめてだ。という事はつまり、それなりの用があると見るしかない。
「やって貰いたい事についてだが」
「何でしょうか」
用とは何だという目で見ていると角都さんはその目から逃げた
「………飛段に一回抱かれてくれ」
「………………は?」
「サソリの体で構わん中身がお前ならな」
「………………は?」
「お前を抱きたいと毎晩喧しくてな。そこでお前に」
「…………は?」
やっぱり馬鹿は馬鹿だ。
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