いや…悪くない、かもしれない
何が悪いか依然にここは悪いやつらの集まりだ。
例え自分の体を忘れようともそれを忘れてはいけない。
「本当にどうしてこうなったんだろー」
そう考えているうちに夜になった
もう、何が何でこうなったのかなんて考えていたのも忘れてしまうような夜だ。
だってつまり今、サソリさんの体をしたままの私が一人きりで居るのだから。
待ちに待った夜なのだ。
「もうどうだってよくなってきた。邪魔者も居なくなったし」
いわばサソリさん本体という名の私は邪魔者だ。
だってサソリさん本体という名のサソリさん本体を手にいれたのだから。
こんがらがってくるものがあるけれど、何度だって言おう。今私の体はサソリさんの体なのだ。
けして以心伝心的なものでは無い。
「サッソリさぁぁん!!!!」
言うなれば、まさに夢のようなもの
「今の内にサソリさんを好き勝手しなくちゃ…今しか無い今しかない!!!」
夢なら良いよねサソリさん!
もう正直、夢でなくとも良いよねとか思った。一人、自分をギュッと抱きしめると何もかも忘れていた気がした。
「はぁー良い抱き心地。サッソリさんにいつかはこうやって抱きしめられたいものだー」
夢のような一時。
今夜、良い夢見れそうだ。って思えるくらいにこの人に包まれる腕は心地良くてもう、中身が自分だって事も忘れかける。
いや…………、忘れてた。
「何やってんだ………サソリの旦那」
「……!」
「自分で自分、抱きしめやがって…気色わりィ」
「……………。」
こんな事も悪くない。いや、悪い。
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